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命捧げよ

作者: 冬木アルマ

 諸君!! よくぞ集まってくれた!!


 今日この時、この場で!! 諸君のような勇敢な若者達に会えたことを!! 私は! とても!! 喜ばしく思う!!!


 知っての通り、我々はかつて、「日本人」と呼ばれていた。「日本人」であることに誇りを持ち、何の躊躇いもなく己が「日本人」であることを認め、日々の営みに努めてきた。


 だが!! あえて言おう!!! そんな()()()()民族意識は、豚のエサにでもしてしまえ!!!


 我々は!! 目覚めたのだ!! 十年前彼方より飛来し、この混沌と怨嗟あふれる世界をお救いになられた、偉大なる神によって!!


 そう!! 「スッチャランクッチャラン」によって!!!


 もう一度言う、スッチャランクッチャランは偉大である!!


 まず!! 悪徳に囚われていた日本人を解放し、真の美と正義をご教授して下さった!!


 次に!! 悪魔の化身たる異国の軍勢をことごとく蹴散らし、世界に新たな秩序と安寧をもたらした!!


 あえて異国の教えに沿うならば、かの御仁こそがメシアである!!


 さぁ、諸君!! 我を見よ!!

 違う、顔ではない!! 我が顔をいくら見つめても、醜い中年親父だとしか分からんぞ!! ニキビが止まらんのだ!!


 そこではない!! 我が胸あたりに、光輝くバッジがあろう!! そう、それだ!! それこそ、我が偉大なる神に認められた印!!


 見よこの紋章の美しさを!!――――ん、何? 犬の首輪にしか見えない? そうだ、その通りだ!! これは!! 首輪だ!!!


 首輪は最上の忠誠を示す証である!! これに軽蔑を覚える者はいますぐこの場を去れ!! 小人に語る言葉はない!!


 ――――よし、皆良い顔をしている。諸君は未来の英雄である!! では! これより詳しい話を――――!!


 ジリジリジリジリジリ!!!!


 む!? おっと電話か!! しかもこの番号は……そ、総督!!? すまぬ諸君!! 少し失礼する。


 ――――スッチャラクチャラン!! 閣下、いかがしましたか!?――――む、誰だ貴様は!!


 この番号は閣下直通のものである。貴様、そこで何を――――何? うん、うんうん……なっ!? そんな、馬鹿な!! では、我々はどうすれば……!! うん、うんうん……あ、そうですか。はい、はい……わかりました。では、彼らには……はい、はい。じゃあ、また世界は変わったってことで……はい、わかりました。ええ、仰せのままに――――


 ☆☆☆


 諸君!! よくぞ集まってくれた!(二回目)


 何? 一体どうしたのかって? 黙れ!! そんなこと、お前達が気にすることではない!! 話を続ける!!


 諸君!! 我々は目覚めたのだ!! 偉大なる神が新たに降臨され、我々を洗脳していた邪神を滅ぼしたのだ!!!

 今こそ!! 変革の時である!! エボリューションなのである!!!


 そう!!! かの英雄神に魂を捧げるのだ!!!



 スッペランノッペランに!!!!



終わり

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました。 神の名前が良いですね。 クスッとなるお話でした。
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