第四十三話 見られていた討伐
とある場所のとある部屋。
フードを被った一人の男に跪く数人の部下たち。
「キマイラは討伐されたか」
玉座に鎮座する男がそう呟く。
その玉座は、お世辞にも綺麗とは言えないほどの傷付き様だった。
跪く部下の中の一人が、はっ!と頷く。
「その時の映像は?」
男が頬杖をつきながら尋ねる。
「キマイラ視点ですので、キマイラが討伐されるまでのものならございます」
「見せろ」
男に命じられ、部下の一人が懐から水晶を取り出す。
その水晶に何事かを呟くと水晶が輝きだし、まるで映写機のように、キマイラ目線での当時の様子を壁に映し出した。
「ふん、カエデ姫め。
あれを難なく防ぐか。
そして、雷撃剣士のライズ王子、さすがだな。
部下もなかなかに優秀だ。
あれだけの攻撃を受ければ、キマイラではもたないだろうな」
男はつまらなそうな顔で映像を見ながら、感想を述べていく。
「いかがいたしますか?
以前、王族にはまだ手出ししないと仰っておりましたが」
部下が男に尋ねる。
「ふむ。
そうだな。
つまらんが、いったんは様子見か」
男は溜め息を漏らしたが、少しして顔色を変える。
「ん?
こいつは、」
その時映っていたのは、影人がキマイラの頭を一刀のもとに切り捨てた映像だった。
「ほう。
なかなか面白そうなのが出てきたな」
男はそう言うと、嬉しそうに上を見上げた。
「これは、楽しくなるぞ!」
そう喝采を上げる男の顔は、骨だけの骸骨だった。
そして、その眼窩には、暗い光がぎらりと光っていた。