第三十一話 フラウさん。命の重さを考える
真っ暗。
真っ暗です。
今日は曇ってて星も見えません。
お腹がすいたけど、何もとれません。
思えば、今日は一日散々でした。
ご主人様からいただいたスキルに慣れてきた所までは良かったのです。
そのあと、ご主人様から課題を申し付けられました。
一週間、人に見付からずに、この森で過ごせと。
お姉ちゃんを探すために、ご主人様のお役に立つために、私は強くならなきゃいけない。
だから、何としても一週間頑張ろうと意気込んでたんです。
でも、でも、
なんであの魔獣の人たちは私ばっかり追い掛けるんですか!
他にも獲物はたくさんいるのに!
私より弱くて遅い子もいっぱいいるのに!
わざわざ私を狙って、遠くからやってくる魔獣までいる始末ですよ!
やってられませんよ!
まったく!
まあ、そのおかげで逃げるのと隠れるのは得意になりましたし、【隠者】に関してはもう完璧です。
おまけに、あまりに逃げ回るものだから、【韋駄天】のスキルも獲得しちゃいましたよ。
おかげで、【身体強化】と【韋駄天】を発動した私に追い付ける人はいなくなりました。
でも、それとご飯を取れるかは別みたいです。
ウサギさんとか鹿さんとかを捕まえようと思っても、近付く前に逃げられてしまいます。
なんでなんでしょう。
それにしても、お腹すきました。
ご主人様。
私はもうダメかもしれません。
お腹がすいて、もう…………
もう…………寝ます。
ぐぅ
お腹がすいても、次の日はやってきます。
目が覚めても、やっぱり森でした。
そして、私は朝から走ってます。
魔獣さんが追い掛けてくるからです。
魔獣さんは倒したら消えてしまいます。
倒してもご飯にはならないので疲れるだけです。
だから、逃げるのです。
ようやく逃げきりました。
そして!
ついに!
ウサギさんを捕まえました!
【隠者】を使いながら追い掛ければ、すぐに捕まえることが出来ました!
大発見です!
ご飯です!
嬉しいです!
お肉です!
お、にく?
どうやって、ですか?
え?
私が、殺すの、ですか?
ひぃっ!
あっ!
…………逃げてしまいました。
…………木の実でも、探しましょう。
食べるって、大変です。