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第百七十八話 他の真祖たち

「そういや、グレイグ以外の真祖には召集をかけてるのか?

グレイグ並みの存在がいるのといないのとではかなり違いが出てくるんだが」


 俺たちはスカーレットの出方が分からない以上、まずは自軍の状態を確認、調整することにした。


 たしか、真祖ってのは13人いるって話だったが。

 グレイグが第5位で、最初に眷属にしたスカーレットが第1位だとすると、あと11人いるはずなのだが。


「何人かには声はかけた。

だが、奴らが来るかどうかは分からん」


 ?


「女王の眷属なんだろう?

貴女が命じれば従うんじゃないのか?」


 たしか、眷属にとって女王の命令は絶対なはず。

 そんな女王に反目するスカーレットは異質な存在なのだろうが。


「ああ。

確かに我が命じれば彼らはそれに従う。

だが、前も言ったが彼らは無為自然という我のスタイルの影響を引き継ぎ、俗世との関わりを持たずに人知れず生きることを良しとしている者が多い。

中には自らの力を隠して人の世で生きる者もいる。

我は出来ることなら、そんな彼らの生き方を尊重してやりたいと考えている。

だから、出来たら手伝ってほしいとは伝えたが、そのあとどうするかは彼らに任せてある。

来るかどうかは彼ら次第だ」


「……そうか」


「……それに、もう3位と4位。

あとは8位~11位はこの世にいないしな……」


「……そうなのか」


 女王が悲しそうな顔を見せる。

 不老不死なはずの吸血鬼(ヴァンパイア)の死。

 それは高位なものほど自死である場合が多いと、前にプルが言っていた。

 永遠の命など持ったことがないから分からないが、生きることに飽いた者がたどる道はやはりそこなのだろうか。

 なにか、生きるよすがのようなものがあれば違ってくるのかもしれないが……。


 とはいえ、そういうことなら仕方ない。

 真祖の戦力は惜しいが、女王がそういうのなら受け入れるしかないだろう。


「……ちなみに、真祖たちはスカーレットの【魅了(テンプテーション)】にかかるのか?

そうなると、静かに暮らしているであろう彼らは良い駒にされそうだが」


「……どうだろうな。

スカーレットの能力がどこまで強化されているかだが、我の血を色濃く継いだ真祖にまで及ぶとは考えられんな。

第2位の奴は亜空間に引きこもってるし、少なくとも第10位ぐらいまでは効かないと思うぞ」


「……そうか」


 となると、真祖の中で敵になりそうなのは第12位と第13位ぐらいってことか。

 第5位のグレイグの実力を考えれば、何とかならないこともない、か?


「あとはあちらにどれほどの戦力がいるかだな」


魅了(テンプテーション)】をかけられた吸血鬼(ヴァンパイア)もそうだが、もし他の魔王直属軍がいたりしたら一気に話が違ってくる。

 スカーレットの相手は女王がするとしたら、そいつらは俺たちかグレイグあたりが相手をしないといけないだろう。


 魔王直属軍か。

 破理(はこと)レベルの奴が出てきたら、それこそ付きっきりで相手をしても勝てるかどうかといったところか。

 前に巨人の国で戦った時、あいつは本当の本気ではなかったような気がするしな。


「……ふむ。

それは我の、夜の帳の結界を通過した時に判断するしかないだろう。

スカーレットが我に気付かれずに侵入している可能性はあるが、さすがに吸血鬼(ヴァンパイア)以外の種族が侵入すれば分かるからな。

その時は影人たちに頼むことになるかもしれんからよろしく頼む」


「ああ、分かってる」


 女王も同じように考えていたようだ。

 やはり他の魔王直属軍が出てきたら俺たちで相手をしなければ。

 俺やプルやノアなら一対一で相手できるが、フラウとミツキには2人で組んでもらうか。

 開発した魔法次第では、エルフの時のようにプルが動けない可能性もあるが、こればっかりは出たとこ勝負だな。


「こちらが受け手である以上、完璧に詰めた作戦は立てられない。

影人たちの夜想国内での念話と転移を許可しておくから、常に連絡を取り合い、情報を共有しておこう。

我が側近の手合いを街に放って牽制し、プルの魔法の完成までは時間を稼ぐ。

それまでの間、くれぐれもスカーレット側と接触しないように。

極力、この館にいてくれ」


「ああ、分かった」


 下手したら俺たちもスカーレットの【魅了(テンプテーション)】にかけられる可能性もあるからな。

 エルフの時はプルの中和結界で何とか出来たが、今回はプルが出てくるまでそうはいかない。

 

 とりあえずは魔法の完成まで戦闘が起きないことを祈るばかりだ。





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