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難航

東部方面軍をサウ・スファルの要請に応じて派兵してからはや2ヶ月、事態は一向に好転しません。


「拙いな……」

「どうしました?」

「サウ・スファルなのだが、時間がかかり過ぎている。と言うか、終わりが見えないのだ」

「向こうとの調整は」

「もちろんやってはいるが、向こうもそれどころではないらしい。全貌を把握しきれていないと思われるのだ」

「それではわが軍は消耗するだけではありませんか」

「だが、ここで手を退くわけにもいかないだろう」

「ですが……」

「兵の交代をしよう。北部方面軍と入れ替えを行う。戻ってきた兵たちには休息を与えるように」

「ミルランディア様にお願いするのですか」

「仕方あるまい。行軍を行っての交代となれば一月は掛かる。今の前線にそこまでの余力は期待できぬ」

「ではミルランディア様にお話をします」

「それは私がするからよい」



**********(side 前線)



「いったいこの作戦はどうなっているんだ」

「分かりませんよ。サウ・スファル側の指揮官があれでは……」

「まぁそうだな。それにしてもずいぶん被害が増えてきたな。犠牲者も日を追うごとに増えていく」

「司令官、本国より知らせです。本作戦を北部方面軍に引き継ぐとのことです。五日後にスフィアル郊外のヘンネルベリ軍の基地に集合とのことです」

「分かった。あちらさんとは俺の方で対応しておこう。直ちに全軍に撤退命令を出せ」

「了解しました」


「……ということで、我々は一旦引きます」

「ヘンネルベリがこの件から手を退くわけじゃないんだな」

「安心してください、我々の代わりに別の部隊が来ます。我々と同じ正規軍です。我々も大分兵を消耗していますので、動ける部隊との交代と考えていただいて構いません」

「悪いが、これからも頼む」

「ところでサウ・スファルの方ではこの件について把握されているのですか。どうも後手に回っている感じがして……」

「前線としてはとにかく魔物を倒せとしか言われてません。ただ大変申し上げにくいのですが、上層部もこの件に関してはなにも解ってはいないと思います。前線にいればこれがただのスタンピードではないことは明らかです。しかしながら上はただのスタンピードだと思っています」

「そうですか………。やはり………」



**********



派遣軍の交代も無事に終わりました。

「ミルランディア様、少しよろしいでしょうか」

「構わないけど、ここでいい?」

「できれば人がいない方が…」

「分かりました。こちらへ来てください」

ディメンジョンホームを開きました。

「ミルランディア様、ここは?」

「私の秘密の隠れ家と思ってくれていいわ。ここなら誰にも聞かれないから」

「はい。では………」


「……そうなのね。でもまさかこのタイミングで反乱まで起きてるとは」

「派遣軍も襲撃を受けましたからね」

「これはサウ・スファルの政府に抗議しておかなければならないわね。あと魔物の件については私の方で情報を集めることにします。あなたには苦労をかけますが、ヘンネルベリの為、職を全うしてくださいね」




状況を把握できない政府、行き当たりばったりの指示しか出せないために混乱する現場、政府に反旗を翻す民。

指揮も何もないこんなところに軍を展開している我が国。

手を引くにも深入りするにも、情報を集めなければ……



**********


「サウ・スファルの内乱については正式に抗議してきました。ただ、向こうの政府は正確に把握していないようでしたが……」

「で、この先のことなのだが……」

「えぇ、要請の内容についての精査と、今までの分を一区切りとして一度精算するようにと言ってあります」

「向こうはどう言っているんだ」

「精算したくともお金がないとの一点張りです。これだけの規模の作戦を続けているのですからそうなのでしょうけど、こちらとしてもタダでという訳にはいきませんので。領土の割譲を求めるなども視野に入れた方がいいかもしれません。その場合、沖合の島などがよろしいかと」

「それも一つだな。考えておこう」

「あとは向こうの上層部が今回の件について把握しきれていない感があります。現場の指揮官もそう感じているようで、このままでいきますと派遣軍の被害も増えていくことになります」

「それの方が問題だな」

「………」

「一度退こう。ふた月、この間で大きな進展がなければな」

「それからこの2カ月の間、私は国の方針に従ってこの件について介入することはありませんでした。しかしこれと言った進展もなく、さらに我が国の軍にも被害が拡大している今、情報の収集を行おうと思うのですが……」

「ミルランディアが行くのか?」

「いいえ。前にうちの領地で起きたスタンピードの時に使った魔道具で行おうと思っています」

「それなら構わないだろう。我々もサウ・スファルがそこまで事態の把握ができていないとは思っていなかったからな」

「では、早速」


魔道具をいくつか送り込んで様子を見ます。ホントはマルチさんにやってもらった方が楽なんだけど、記録を取っておかないといけないからね。

『うぅん、魔素の異常はないのよね。ダンジョンもないし。でもいつの間にか魔物はいるのよね』



**********


「陛下っ!たった今大きな知らせが届きました」

「一体何事だ」

「モルーマ王朝が亡んだとのことです」

「モルーマが?」





読者の皆様へ、


今回も最後までお付き合いいただきありがとうございます。


多くの作品がある中、この作品は河原の石のようなものです。

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