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Aランク昇格試験(パート4)(side 金色の月光)

「今回の試験の結果をどう見る」

「11チームのうち4チームが脱落、間に合った中でも3チームはほぼ戦力外か。質が落ちたのか」

「そうではないと思うぞ。俺は『金色の月光』に同行してきたが、道中の魔物は今までと比べようがないほどの強さだった。フロアボスも3割から5割は強化されていたとみていいだろう」

「それには同意するな。確かに道中、ボス共に強化されている」

「今までそんなことがあったか」

「いや、初めてだ」

「これについては別件で調査の必要があるな。厄介なことにならなければいいが」

「あのダンジョンの調査となると、Aランクパーティーが複数必要になるな」

「調査が終わるまで試験を中止にするか?」

「その必要はないだろう。今回だけかもしれないし」


「今回のAランク昇格パーティーについてだが」

「まあ『金色の月光』は文句ないだろう。既にAランク中堅の実力があるように見えた」

「パーティーのバランスもいい。支援職がいないようだったが後で募集するといってたしな。それにあのリーダーの統率力は目を見張るものがあったしな」

「あの試験のレイド戦で、初見のパーティーをまとめ上げたのは大きかったな。実質4パーティーで攻略だっただろ。彼の功績は大きい。指示も的確だったしな」

「それだけじゃない。彼らは目的を見失わずに進んでいける。野営にしてもそうだ。初日が3階の安全地帯、2日目が5階の安全地帯だった。彼らは事前の調査で安全地帯の場所まで把握していたんだ。それに休息の前には必ずミーティングを行っていた。気づいた点、明日の予定、気を付ける箇所など細かく。慎重さという面では野営の際に、安全地帯でありながら魔物の忌避剤を使い、侵入検知用のトラップを仕掛け、結界まで張る周到さだ。その上監視まで立ててたんだぞ」

「『金色の月光』は今回が初試験だったのか。とんでもないパーティーがいたもんだな。彼らはベルンハルド出身か」


「まあ彼らは昇格でいいだろう。他に昇格させるパーティーはあったか」

「『獅子の咆哮』はどうだ。確かに『金色の月光』が目立っていたが、彼らも堅実な動き、働きだったぞ」

「『獅子の咆哮』は前回に次いで2度目の試験か。前回は昇格に名前は上がったが見送られたのか。修正はできていたのか」

「前回は護衛対象への接し方が見送りの原因だったが、その点については修正されていた」

「『獅子の咆哮』についても昇格でいいかな。他にはあるか」

「いや、この2つだけだろう」


「それでは今回の試験での昇格は『金色の月光』と『獅子の咆哮』の2パーティーとする。次回の試験開催も予定通り。以上だ」



**********



昇格試験から3日後、俺たちはギルド本部に結果の発表を聞きに集まっていた。

「Aクラスパーティーに昇格を決めたものは、『金色の月光』と『獅子の咆哮』である。

他のパーティーは残念ながらAクラスへの昇格は見送りとなった。しかしながら、今回昇格できなかったパーティーも、Bランクパーティーの上位パーティーだ。昇格に不足していた点を補い、再びAランク昇格試験を受けるのもいいだろう。

Aランクに昇格する2つのパーティーもさらなる高みを目指すように。Aランクパーティーは全てのパーティーの目標でもある。Aランクパーティーとして相応しい力、相応しい態度をとって欲しい。以上だ。

『金色の月光』と『獅子の咆哮』はこの場に残るように。昇格の手続きを行う」


俺たちは無事にAランクパーティーになることができた。ベルンハルドの更に先、小さな町で育った4人は、冒険者の目標でもあるAランクパーティーまで上り詰めた。


「支援職の募集でもするか」

「どんなジョブの人がいいんだろう」

「少なくとも【毒使い】はダメだな」

「【盗賊】もダメだろう。イメージが合わなさすぎる」

「やっぱり戦える支援職って言うと【レンジャー】なのかな」

「【密偵】っていうのはどう」

「【密偵】か。それもいいかもな」

「まあ、募集をかけてみて気長に選ぶとしようぜ。4人でやってけないこともないんだし」



翌日、ギルド本部の前に新しくAランクパーティーとなった『金色の月光』と『獅子の咆哮』の名前が張り出された。上級貴族家の人たちや大商家の人たちが見に来る。護衛を頼む時の準備だったり、専属冒険者として抱えるためだったり、様々な思惑をもって。


そんな中にサウムハルト侯爵がいた。彼は王国の財務局のナンバー2で、実質全ての業務を取り仕切る立場にあった。彼が見ている先は『金色の月光』。彼らに接触しようと考えていた。



**********(side ミーア)



私は『金色の月光』がAランクに昇格したことをギルドで知ったの。まだ、エレンさんの厳しい特訓を受けてた真っ最中ね。薬草採りやゴブリン退治なんてまだまだの時よ。

『前のパーティーのみんなが頑張ってAランクになったんだ。私ももっともっと頑張んなきゃ』

そう思ったこともありました。でも次の日には元に戻っていました。

『私は私。無理はしない』





えっ?ざまぁされると思った?

そんなそんな。実はもっと大きく熟してから採らないともったいないでしょ。

新キャラも出てきたことだし、大事に育てないとね。脇役だけど。

ざまぁ?されますよ。盛大にね。

でももう少しいい夢を見せてやります。いい感じに持ち上げて、思いっきり叩く。

これが正しいざまぁです。(あくまで個人の感想です)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


次回から再びミーアちゃんの登場です。さて彼女にはどんな運命が待っているのでしょうか。



週3回(月・水・金)更新の予定です。


読者の皆様へ、

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[良い点] ことばの使い方とか話のテンポとか他の話だと気になって引っかかるところがほとんど感じられないので先を読むのが楽しみです。 [一言] ざまぁの考え方には共感します。是非サラッと流さず、しっかり…
[一言] ざまぁ展開は嫌いでは無いけど パーティー活動見るに主人公が自分の情報を出し切ってない状態で判断させる部分に関しては嘘では無いし 原因は別の所に有るし 多少強引でも円満での主人公の脱退で主人公…
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