表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
796/1001

「揃う……か。神性を集めて、一体なにをするつもりだ。エレノア」


「言うに及ばないわ。あなたも原初の女神の存在に思い至ったのでしょう?」


「本当に世界をリセットするつもりか。何の為に」


「……それこそ言う必要はないわ」


 まじか。

 エレノアの動機がわかれば、説得もできるかもしれないってのに。

 どうやら話し合いに応じる気はないらしい。

 俺はサラを一瞥する。緊張感のある面持ちで、胸の前で拳を握っていた。


「エレノアよ。正直俺は、世界をリセットしてほしくないと思っている」


「ええ。あなたはそうでしょう。そういう人だもの。でもあたしは違う」


「なに?」


「すべてをなかったことにしても、手に入れたいものがある」


 エレノアの手に、光の剣が生まれる。


「戦うしかないってのか」


「選べばいい。世界か、あたしか」


 どういうことだ。

 どうしてその二択なんだよ。


 わけわかんねぇけど、とにかくやるしかないようだ。

 なにせ、エレノアの殺気はホンモノだ。


 俺は一瞬だけ、アイリスと目を合わせた。

 それだけで、アイリスは俺の意を汲み、即座に行動を開始した。サラとルーチェ、オルタンシアを抱えて、この空間から脱出を試みたのだ。

 それに反応したエレノアは、アイリスに向けて光の剣を投擲する。しかし、その攻撃はセレンの魔法によって迎撃されていた。


「あなたも邪魔をするのね。セレン」


「とーぜん」


 セレンのスキル『ロックオン』が、エレノアを確実に捉えている。

 かつて共闘してドラゴンを討伐した仲だ。多少なりとも思うところはあるのだろう。


 エレノアは再び光の剣を握った。

 意思は固い、か。

 アイリス達はすでに退避を完了していた。すでにこの空間に四人の姿はない。


「本当に、戦うしかないのか」


 和解の未練を断ち切れず、俺は今一度問うた。

 だが、エレノアの表情は変わらない。


「あなたの決意も固いでしょう。もう、言葉は意味を持たない。あたしがあなたの間違いを気付かせてあげるわ」


「……わかった」


 俺は腰の剣に手をかける。

 一触即発とはこのことだ。

 コップになみなみと注がれた水が、今まさに溢れようとした、その瞬間。


「ちょっと待つんだ」


 教皇が待ったをかけた。


「聖女エレノア。話はまだ終わってないんだ」


「言ったはずよ。言葉は意味を持たないと」


「勝手に決めてもらっては困るんだ。言葉とは人が生み出した智慧の極みなんだ。意味を失うなんてことはありえないんだ。あるとすればそれは、言葉を尽くす努力の不足によって起こる錯覚に他ならないんだ」


「この期に及んで話し合えっていうの?」


「その価値は十分にあるんだ」


「ないわ」


「あるんだ。なぜなら、話によってはマーテリアの封印を解くのも吝かでないと、ロートス・アルバレスが言っているからなんだ」


 なんだって。

 教皇の奴、どういうつもりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ