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ついに解かれる封印

「マーテリア。まだ生きてる」


 セレンがマーテリアを見上げて呟く。

 マーテリアが入ったクリスタルを貫くように八本の鎖が伸び、マーテリアを縛り付けている。その鎖は、壁に設置された色とりどりのクリスタルに繋がれていた。

 クリスタルの封印もそのままだ。


「エレノアちゃんとファルトゥールの姿が見えませんね」


 アデライト先生が俺の隣で周囲を見渡している。手の上に浮かんだ光の球が、広間を隅々まで照らしていた。


「どうする。今のうちに封印を解くか」


「待つのじゃロートス。軽はずみな行動をするでない」


 アカネが俺の腕を掴む。


「けど、エレノアがいないうちにマーテリアを消すことができれば、原初の女神の復活も防げるぞ」


「エレノアとてそれを分かっていないはずがないじゃろ。どこかでおぬしが封印を解くのを待っているやもしれん」


「だからといってこのまま何もしないわけにはいかないし」


「それはそうじゃが……」


 時間的な猶予はない。

 できるだけ早く手を打つべきだ。


「みんな。封印の解き方はわかるか?」


 俺が尋ねた瞬間、壁際のクリスタルの一つが音を立てて砕け散った。


「これで、よろしいのですか?」


 見れば、アイリスが砕けたクリルタルに掌を向けていた。


「アイリス……! ああ、それでいい」


 マーテリアのクリスタルの、鎖が繋がれていた部分が、脆くも砕けている。


「こう、ですか?」


 サラも見よう見まねでクリスタルに手を向ける。


「あ……たしかにわかるのです。自分がどのクリスタルを壊せばいいのか。どうやったら壊れるのか」


 サラに続いて、みんなも同じように手を持ち上げた。


「なるほど。直感的にわかるっす。これは、ウチらの本質的なところに直接伝わってるんすね」


「おそらく〈妙なる祈り〉の影響でしょう」


「封印の解き方が理解できるってことは、私達が〈妙なる祈り〉の影響を受けているって証拠ですもんね」


 サラとウィッキーとアデライト先生とルーチェが、ぐっと手に力を込める。

 四つの封印が、派手に砕け散った。

 マーテリアのクリスタルに繋がれた鎖が千切れ落ちる。


「見てくださいご主人様。クリスタルのヒビが……!」


 最初は小さかった罅割れが、どんどん全体に広がっていく。

 網目状に走った罅割れが、マーテリアの姿を隠してしまうほどに。


「残り、ふたつ」


 封印解除を観察していたセレンが手を持ち上げる。


「待つのじゃ、セレン」


 制したのはアカネだった。


「どうして止めるの? 師匠達も封印を解いた。あとはあたし達だけ」


「だから待てと言うておるんじゃ」


「どういうこと?」


 セレンの問いに、アカネはフンと鼻を鳴らす。


「そろそろ出てきたらどうじゃ。隠れていても、気配までは消せておらんぞ」


 声を張ったアカネに呼応するように、高い天井から、人型の物体が落ちてきた。


「こいつは……!」

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