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提案じゃい

「奴らは組織の名をネオ・コルトと変えていた。もとは王国の民間組織で、メンバーの自己実現のために相互協力をする、という団体だった」


「王国の民間組織……ですか」


「それともう一つ。気付いてるかもしれないが、ネオ・コルトの主戦力はクィンスィンの民だった。ツカテン市国の侍達。つまり、あんたのところの属国だな」


 今度は、ヴィクトリアに会場の視線が集まった。


「今はもう違います」


 顔色一つ変えないヴィクトリア。


「先日、彼らは独立しました。武力をもって」


「独立戦争で勝ったんだろ。そんで、帝国は負けた」


 俺とヴィクトリアの視線が交錯する。

 周囲の国家主席達はそれぞれ言葉を交わしていた。


「どういうことアル……ネオ・コルトとやらは帝国と関係があるアルか! それとも王国アルか!」


「亜人戦争も裏で帝国が暗躍していたらしいではないか! 今回もそうなのか。まさか、魔王までも帝国の差し金ではあるまいな!」


「説明して頂きたいなぁ! ヴリキャス帝国の皇帝陛下よぉ!」


 場はにわかに騒然となった。


「静かにしてくれ」


 そんな中で、威厳あるイケボが響き渡った。俺の声だ。


「まずはヴィクトリア陛下の話を聞こう。議論はそれからだ」


 圧倒的なカリスマを発揮した俺の言葉に、国家主席達は皆一様に口を閉じた。

 そして、ヴィクトリアの言葉を待つ。


「人類史上、我が帝国が各地に遺恨を残してきたことは否定しません。クィンスィンの民を抱え緩衝地帯となる国を作らせたのは、百年前の皇帝が行ったこと。ですがそれは当時長く続いていた戦争を止めるためでした」


「だから正しいことだと?」


「是非ではなく、選択の一つだったということです」


「亜人同盟を作って王国に攻撃したことは」


「戦略の一環です」


 ぬけぬけと言いやがる。


「ですが、今後はそういったことをやめようと、この世界会議を開いたのではありませんか? この場で我が帝国を責めるのはお門違いというもの」


「責めちゃいないさ。ただ、あんたがネオ・コルトに通じていないか、みんな気にしてる」


 責めたい気持ちは山々だけどな。


「ミスター・アルバレスの言う通りだ」


 口を開いたのはネルランダーだ。


「俺としては美人さんを疑いたくはないんだがね。この状況ではそうも言ってられない」


「ヴリキャス帝国は断じてネオ・コルトと通じてなどいません」


「どう証明するんだい?」


 ヴィクトリアが何か言いかけたが、セレンの方が早かった。


「グランオーリスから提案がある」


「……なんでしょう」


「これより、グランオーリス、マッサ・ニャラブ共和国、亜人連邦の三国は、協力してネオ・コルトの討伐を計画する。帝国は私達に最大限の支援を行ってほしい」


 昨夜のうちに俺とセレンとアルドリーゼで協議した結果の提案だった。

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