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ネオ・コルト

「フフ……これこそ神の恩恵。渇望を力にする生命の御業ですよ!」


 ありえない。俺が今まで見てきた中で最も強力なスキル。

 まるで女体化MODだ。


「驚いているようですね。けれどこれで終わりではありません。私のスキルはただおっさんをロリにするだけではない。その強さをも爆上げする!」


 美幼女、あるいは美少女達の目が光った。


「我ら親コルト派は、今この時より進化するのです。さしずめ、ネオ・コルトといったところでしょうか! 今夜はお披露目です! とくとご覧あれ!」


 ティエスの覇気が、一気に増幅する。すごい圧力だ。

 まさか、襲いかかってくるつもりか。


「逃げろーッ!」


 ティエスが叫ぶ。


「散!」


 それとほぼ同時に侍達は跳び上がって散っていった。

 呆気に取られた俺は、みすみす見逃してしまう。

 美幼女、あるいは美少女たちが一斉に跳躍するという光景に目を奪われていなかったと言えば、それはウソになる。

 一人取り残された俺は、静かに戦闘態勢を解いた。


「ミスター・アルバレス……」


 後ろから、ネルランダーの声が聞こえた。


「大丈夫か?」


 俺はネルランダーに駆け寄り、状態を確認する。負傷はしているが、死ぬような怪我ではなさそうだ。


「ファーストエイド」


 医療魔法をかけると、ネルランダーの全身にあった傷が一秒も経たずきれいさっぱり治った。


「これは……すごいな」


 だが失った血と体力はすぐには戻らない。安堵したネルランダーは、すっと眠りに落ちた。


「ロートス!」


 そこにやってきたのは騎士達を率いたコーネリアだ。


「コーネリア。無事だったか」


「はい。城内に侵入した敵はあらかた排除しました。事態の鎮静化も時間の問題でしょう」


「わかった」


「……撃退できたのはよいですが、今回の襲撃は大問題になるでしょうね。グランオーリスの警備責任も追及されるでしょう」


「あるいは、それが奴らの狙いかもしれないぞ」


「世界会議を狙い、国際的な協力関係を阻害する、と?」


「ああ。人類に団結してほしくない奴らがいるんだろう」


「女神ですか?」


「いや……」


 人の平和を望まないのは外敵だけとは限らない。


「人の本当の敵は、人なのかもしれないな」


 もし人類が、女神なんかに惑わされない聡明さと強い信念をもっていれば、争わずに済んだ。そう信じたい。


「ロートス。戻りましょう。後始末は、グランオーリスの騎士団が担います」


「ああ。頼む」


 とりあえず一段落だ。

 だが、この時の俺はまだ知らなかった。

 今夜の襲撃。ネオ・コルトの誕生の夜が、新たな波乱の幕開けとなることを。


 あえて言うならば。

 俺達の戦いは、これからだ。

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