枕会話
しばらくして。
気が付くと、アデライト先生の胸に抱かれていた。
「目が覚めましたか?」
生まれたままの姿の先生が、にこりと笑う。
「あれ……寝ちまってたんですか、俺」
「ぐっすりでしたよ。ふふ。寝顔を堪能しちゃいました」
俺の額にキスをして、先生はぎゅっと抱きしめてきた。
「本当に、会いたかった」
「俺もです」
俺は先生の細い腰に手を回した。
汗ばんでしっとりした先生の肌は、すばらしい感触だった。
俺は我慢できず、豊満な胸のピンク色の頂きに口づけをする。
「あっ……」
艶めかしい吐息が漏れる。
「もう……あれだけしたのにまだ満足していないですか?」
「もちろん」
「めっ、ですよ。明日だってあるんですから」
むむむ。
そう言われると無理強いはできないな。
「先生。ちょっと相談したいことがあるんです」
「なんでしょう?」
「実は――」
俺は先程の出来事を一切合切話した。
その話を最後まで聞いた先生は、俺の頭を撫でて思案する。
「セレンちゃんと結婚してグランオーリスの王に。それから、オルタンシアちゃんと結婚してジェルド族の王に。ふふ。ロートスさんったらモテモテですね。さすがは私の婚約者様」
「どうすりゃいいんですかねぇ」
「ロートスさんはどうしたいんですか?」
「俺ですか? 俺は……そうですね……そりゃ皆の希望は叶えてあげたいですけど、でも政治ってのは色々複雑だから、俺の一存では決められないと思います」
「そうでしょうか?」
「え?」
「ロートスさんの好きなようにすればいいんです。煩わしいことは気にせず、あなたの見ている未来に突き進んでください。それが、世界と人類の未来なのですから」
「先生」
「あなたは英雄です。文句を言う人がいたら、黙らせればいいじゃないですか。あなたにはその力があります」
俺は思わず吹き出してしまった。
「……意外ですね。先生がそんな過激なことを言うなんて」
「過激とは心外です。あなたを信じているからこそですよ」
「ありがとうございます先生。決心がつきました。俺は王になる。俺を求めているのは亜人連邦だけじゃないんだ。けど……王になってどうすりゃいいんですかね?」
「こういうのはどうでしょう?」
先生は俺に一つの案を説く。
「……なるほど。そいつはいいアイデアだ。さすがアデライト先生」
「上手くいくかわかりませんが、実現すれば世界のパワーバランスが一変します」
「よし。それならいっちょ、やってみますか」
やるべきことをやるんだ。周りがどう言おうと関係ない。
「でもその前に」
俺はアデライト先生の首筋に顔を寄せる。
「もう……あと一回だけですよ?」
許しを得た。
そして、再び熱い営みが始まるのだ。




