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やる時はやる

「きも」


 ソロモンがマジトーンで呟いた。


「は? きもくないし」


「きもいでしょ普通に」


 辛辣すぎるだろ。


「ねぇねぇ。何か言ってあげなよ。こいつ浮気しまくるって宣言してんのよ」


 ソロモンが言うが、オルタンシアはくすりと笑うのみ。


「種馬さまは種馬だから……そういうところが、素敵なんです」


「だめだこりゃ」


 ソロモンとは違って、オルタンシアはよくわかっている。


「なぁソロモン。お前のために言うが、男を見る目を養わないと今後苦労するぞ」


「うっさい」


 なんて生意気な奴なんだ。


「んじゃ、そういうことで~。即位式は世界会議が終わったらすぐやるよ~。準備しておくね~」


 アルドリーゼは爆乳を揺らしながら立ち上がると、足早に出口へ向かう。


「あ、そうそう。キミさ~」


 誰に言ってるのかと思ったが、どうやらソロモンのようだ。


「親は大切にしなきゃだめだよ~」


 それだけ言い残して、アルドリーゼは部屋を出ていった。


「……わかってるっての」


 なんなんだ、一体。

 そんなことより。


「そうそう。ソロモン」


「なに?」


「これを返さないと」


 俺は部屋の隅に立てかけていたサーベルを取ってくると、ソロモンに差し出す。


「サンキュな。なかなかいい剣だった」


「うん。まさか返ってくるとは思わなかったわ」


「なんで?」


「魔王と戦ったんでしょ? よく壊れなかったわね」


「たしかに。まぁ俺がすごいからだと思う」


「はいはい」


 ソロモンは剣を受け取ると、ベルトを回して腰に帯びた。


「あたしは部屋に帰るけど、どうする?」


「あ、自分も行きます」


 オルタンシアはアナベルを抱っこして立ち上がった。


「ここにいてもいいのに」


「でも、ここには……種馬さまのお客さまがたくさん来ると思いますから。アナベルも落ち着かないと、思います」


「言われてみれば」


「心配ないわ。あたしが一緒だから」


「何かあったら、会いにきます」


「そうか。わかった」


 そうしてまた、俺はクソ広い部屋に一人になった。

 しかし、こうしてゴロゴロするのは久しぶりかもしれない。

 ここのところは、瘴気の呪いを解いたり、魔王と戦ったり、色々とせわしなくしていた。

 こうやってのんびりできることの幸せを、今のうちにしっかり享受しておかないとなぁ。


 つーか、よく考えたら。

 セレンもアルドリーゼも、ハニートラップを仕掛けてきてねーか?

 実際そうだよな。

 世界から注目されたら、いろんな勢力が接触を図ってくるはずだ。そんな時に簡単にハニトラに引っかかるようじゃあかんよな。

 そういう意味では、予行演習になってよかったかもしれない。


 よし。

 俺はもう、ハニートラップには引っかからないぞ。

 人知れず決意していると、部屋にノックの音が響いた。


「今度は誰だよ」


 うんざりしながら、俺は部屋の扉を開く。

 アデライト先生が微笑みを浮かべていた。


「ロートスさん。お久しぶりです」


 俺は部屋の外を窺う。


「先生、一人ですか?」


「はい」


 俺は先生の手を掴み、部屋にぐっと連れ込んだ。

 扉の鍵を閉め、先生を抱きかかえてベッドまで直行する。


「あの、ロートスさん? ちょっ――」


 ベッドに押し倒しながら、俺は先生の唇を奪った。

 そして。


「ん……」


 その豊満な胸元に、手を滑り込ませた。

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