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はい決定

「そういうことだから~。頼むね~」


「前向きに検討するわ」


 俺はとりあえずそう答える。

 脚を組んだソロモンが、頬杖をついて俺を見つめていた。


「なんだ?」


「なんでもないわ」


 ふんっとそっぽを向いてしまう。

 なんか、あれなんだよな。

 見た目は似ても似つかないが、ソロモンと話しているとどこかエレノアっぽい雰囲気を感じる。仕草とか、言動が似ているんだろうか。


「ねぇキミ。ソロモンだっけ~。キミはどう思う?」


 唐突に、アルドリーゼが話を振った。


「どうとは?」


「もちろんロートスが王になることさ~」


「別になんとも思いません。好きにすればいいんじゃないでしょうか」


 おいおい。

 ソロモンだってジェルド族だろう。女王相手にそんな態度でいいのかよ。


「もしロートスが王にならないんなら~。アナベルに教育を施して女王になってもらおうかと思うんだ~」


 その言葉に、オルタンシアとソロモンが同時に反応した。


「どういうこと?」


 ソロモンが責めるような目を向けてくるが、俺に言われてもって感じだ。


「なんか。俺か、もしくはその血を引く者が王にならないとジェルド族が滅びるらしい」


「そんな……本当、なんですか」


 不安そうなオルタンシアの肩を、俺はぎゅっと抱いた。


「そんなの眉唾だわ。未来のことなんてわからないでしょう」


「ソロモンちゃん~。それがわかるんだよ~。なにせ余のスキルは『カコオクリ』。救世神伝説の石碑は、未来の余が時空を超えて過去に送ったものなんだ~」


「でも、他に『カコオクリ』を、持つ人がそれをやった可能性だって……」


「いや、それはない。『カコオクリ』は短時間しか過去に送れないんだ」


 俺が言った瞬間、テーブルの上にコインが落ちた。

 もともと何もなかった空間に、突然現れたのだ。


「これは……ジェルドの通貨?」


「余のコインだね~」


 アルドリーゼが爆乳の間からコインを取り出し、テーブルのコインの隣に置く。


「見比べてみて~」


 言われたとおりにすると、コインに振ってある番号が同じであることがわかる。


「この番号は偽造防止用のシリアルナンバー。二つとして同じものはないんだよ~」


「つまり……」


「こういうことだね~」


 アルドリーゼがコインを叩くと、片方が一瞬にして消え失せた。


「過去に送ったのか?」


「そ~。さっきにね」


「なるほど……」


「これを何百年単位でやるなら、救世神の力が必要だね~」


「俺の〈妙なる祈り〉とのコラボで、それを可能にするってわけか」


「ジェルドの人間で『カコオクリ』を持つのは余だけ。つまり、救世神伝説の石碑は余が送った~」


 たしかに、そう考えるのが妥当だな。


「じゃあもうなったらいいじゃない。ジェルドの王様に」


「ソロモン」


「だって。そんな赤ちゃんなのに、今から女王なるのが決まるって可哀想だわ」


「自分も、この子を女王にするのは、反対です……」


「ほら。ママだってそう言ってるんだし!」


 ソロモンはそう言うが、俺だって王になりたくないわ。亜人連邦だけで手一杯だってのによ。

 だが、アナベルの未来を勝手に決めてしまうのはもっと嫌だ。


「わかったよ~。こういうことはあまり言いたくなったけど~」


 アルドリーゼが悩ましげに言う。


「ジェルドの王になれば~、ジェルドの女の子はみ~んなロートスのものだよ~」


「おいアルドリーゼ!」


 俺はいきり立って、彼女の肩を掴んだ。


「なに~? 気を悪くしたかな~?」


「気を悪くしたっていうかよ」


 そんなもんじゃない。


「即位式は、いつやる?」


 ジェルドの王に、俺はなる!

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― 新着の感想 ―
ジェルドの王にもでしょ?エロ府とか!
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