門番をしております
というわけで貴族寮に到着した俺達は、早速入口に立っていた厳つい門番に止められていた。
「なんだお前達は、ここは貴族専用の寮である。平民は立ち入り禁止だ!」
当然、学園では身分の差はない。
しかしながら、一歩外に出ればそんな治外法権は無効になる。無用なトラブルを避けるためにも、貴族と平民の住居は分けられているのだろう。王国の社会を安定させるためには仕方ないことだ。
「俺はその貴族様に呼ばれてきたんだ。話が伝わっていないのか? ダーメンズ子爵家からさ」
「そんな話は聞いていない。嘘をつくな!」
「まじかよ……」
どうなっているんだ? アカネの奴、門番がいるのならちゃんと話を通しておくべきだろうに。
と思っていたら、門の奥にアカネの姿が見えた。
「あ。おい! アカネ!」
俺が手を振ると、彼女はニヤリとするだけでこちらに近付こうとはしない。
仕方なく、俺は門を開こうとする。
「貴様! 立ち入り禁止だと言っただろう! 校則に則り、貴様を排除する!」
驚いている暇さえなかった。
門番は担いでいた大斧を振り上げ、俺の脳天目掛けて振り下ろした。
「うっそだろオイ!」
反射的にバックステップを決めた俺は、間一髪でそれを回避する。
当たっていれば確実に死んでいた。
「なにすんだ! 俺はあそこにいるダーメンズ家の従者に呼ばれたんだぞ」
「問答無用! 死ねぇッ!」
だめだ。話が通じない。
こんなところで戦闘が始まるなんて、まさか思ってもいなかった。
「アカネ! これは一体どういうことだよ!」
叫んでも、アカネは門の奥から動こうとはしない。ただじっと事の成り行きを傍観しているだけだ。
「ご主人様。どうするんです!」
サラがあわあわした様子で聞いてくるが、俺にもどうしたらいいかわからない。
とにかく逃げた方がいいか。こんなことになってまでヒーモを頼る必要はないだろう。
「マスター。お待ちを」
踵を返そうとした俺を制したのはアイリスだ。彼女は俺の前に立ちふさがるように門番と対峙している。
「この人、様子がおかしいですわ。体内を巡る魔力の表情が歪んでいます。おそらく、何者かに操られているのでしょう」
「言われてみれば……」
アイリスの言葉に、サラもはっとしている。
いやだから。魔力の表情とか俺にはわかんないだってば。
「アイリス。操られていたらなんだってんだ?」
「試されているのですよ。わたくし達は」
「アカネにか?」
「おそらく」
ちくしょうめ。わざわざ呼ばれてきたのにとんだ歓迎の作法だな。
「試されるのはクラス分け試験でうんざりだ。けどまぁ、そういうことならここで退くのも癪だな」
幸い、周囲には誰もいない。夜だしな。ここで暴れても、目立つことはないだろう。
「変に策を練るのは逆効果だとわかったからな。真正面からぶっ飛ばすぞ!」
「かしこまりましたわ」
「ご主人様、ボクも援護します!」
俺達は改めて、門番に対峙する。
「よっしゃ。いっちょやってやるか!」




