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革命は近い

「あ、先輩っすか?」


 どうやらアデライト先生かららしい。


「わかったっす」


 と言いつつ、念話灯を俺に差し出してくる。

 俺はそれを受け取り、耳に近づけた。


「もしもし」


『ロートスさん。こんにちは、アデライトです』


「先生。久しぶりですね」


『はい』


 先生の声はどこか嬉しそうだ。


『ちょうどウィッキーと一緒にいるようでしたので、連絡を差し上げました』


 ああそうか。先生には『千里眼』があったよな。

 俺の行動や、世界の動向はすでに知っていると考えていいだろう。


「先生。このタイミングで連絡してくれたってことは、もしかして」


『はい。スキルを付与する目途が立ちました。一両日中には、準備が終わると思います』


「まじですか」


 やったぜ。

 これでついに、みんなに俺のことを思い出してもらえるかもしれない。


「先生は今コッホ城塞にいるんですよね? 今から向かっても?」


『もちろんです。川底の転送門はまだ生きていますから、そこからお越しください』


 ヘッケラー河の底にあるやつか。


「あれって、俺が起動できるものなんですか? 前に行った時は、ウィッキーが河を割ってくれたんですけど」


『問題ありません。こちらから起動します』


 そういうことなら、急ぐしかなさそうだ。

 スキルを取り戻すことによって、世界からの認識を得ることができる。


 同時にそれは、マーテリアに俺がこの世界に戻ってきたことを知られるということだ。

 そうなれば、なにかしらのアクションがあるはずだ。

 問題は山積みだが、一つずつ着実に解決している気もする。


「じゃあ、今からアイリスと向かうか。ウィッキー、お前はどうするんだ?」


「ウチは研究を進めるっすよ。ロートスのおかげで滞っていた部分が一気に進みそうっす」


「そうなのか?」


「もしかしたら、瘴気を防ぐような護符みたいなものが作れるかもしれないっす」


「まじかよ。すごいな」


 ウィッキーってこんなに頭いい女だったんだ。意外。


「でものんびりはしてられないっす。早くこの研究を完成させて、諸外国の誤解を解く必要があるっすよ」


「確かに。責任重大だな」


「重大過ぎるっす」


 ウィッキーの双肩に、この国の平和がかかっているのだ。かなりの重圧だろう。

 誰しもに重大な使命があるということだな。


 俺は俺の使命を果たしに行くとしよう。

 そのためにまず、スキルを取り戻すんだ。

 楽しみだな。


 みんなが俺のことを思い出した時、どんなことが起きるのか。

 ドキドキハラハラやわ。


 さぁ。

 いくぜ。

 いざ、コッホ城塞へ。

 ついにこの時が来たんだ。

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