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紐解け真の歴史

 だが、考え方を変えればこれはチャンスでもある。

 知性があるということは話が通じるということだ。


「聞きたいことがある」


 剣を構え間合いを測りつつ、サーデュークに語りかける。


「どうしてお姫様を狙う? 何が目的だ?」


「ウーム。そんなことを聞いて何になるというのだ」


「それは答えを聞いてからわかることだから今はまだわからないさ」


「確かに」


 サーデュークは鼻を鳴らす。


「フム。逆に聞くが、どうしてだと思う?」


「逆に聞くなよ」


 面倒くさいな。


「ハ。呆れた男だ。逆に聞いたのは貴様に考える余地を与えるため。最初から質問に逃げずに、少しは自分の頭で考えたらどうだ?」


「余計なお世話だわ」


 んだよコイツうぜぇな。かなりのクソ上司感が出てるじゃねぇか。


「クク。短気な男だ。器が知れるな」


「いいから質問に答えろよ」


「よかろう」


 サーデュークはハルバードの石突で大地を打つ。そのから瘴気の渦が生じ、一帯に広がっていく。


「我が王女を狙う理由。それは」


 凄まじい殺気が、俺の心身を打った。


「復讐だ」


 全身の毛穴が開く。この圧力は並大抵じゃない。今まで対峙したどんな敵とも違う、極めて異質な存在感。

 俺の剣と、サーデュークのハルバードが激突する。俺達を中心に広がった激突の余波が、大地を円状にめくり上げていく。

 たった一合のやりとりで、平原には巨大なクレーターが生まれてしまう。セレンが巻き込まれなくてよかった。さっさと離脱させておいたのが功を奏したな。


 そこから、凄まじい攻防が始まった。

 俺も全力を出すしかないほどの激しさだ。


「復讐だって? 一体どういうことだ」


「フン。説明する気はない。貴様は無関係だ」


「魔王ってのは、この国のお姫様に恨みがあるってのかよ」


「ム」


 言語に絶する激闘の最中、俺達は語気強く言葉を交わす。


「貴様は二つ勘違いをしている。まず恨みを抱いているのは魔王様ではなく、我個人だ。そしてその対象は王女ではなく、王室だ」


「神の山に引きこもってたくせにノコノコ出てきたのは、お前の独断だってことか。なんだよ。案外センチメンタルなんだな。魔族ってやつは」


「それほどでもない。ヌンッ!」


 ちょうど百度目の剣戟で、俺は強かに打ち飛ばされた。

 大地を転がり、剣が手から離れる。


 くそ。このサーデュークとやら、冗談抜きで半端なく強い。

 今の俺は瘴気も使えないし、万全の状態とは言い難い。流石に一人で戦うのは無謀だったかもしれねぇ。

 俺はよろよろと立ち上がる。一帯は荒れ果て、すでに不毛の地と化していた。


「ったく。オメーはグランオーリスの王室に、どんな恨みがあるってんだ? ああ?」


「フ。知りたいか」


「うん」


「ならば教えてやる」


 サーデュークの声は、怒りに打ち震えている。


「今から十余年前。建国戦争の折。今の国王であるヘリオス・オーリスは、我に援軍を送ることを渋り、見殺しにしたのだ。そのせいで我が軍は敵に包囲され、壊滅した」


「なんだと? それって」


 どういうことだ。

 つまりこいつはモンスターじゃなくて、元人間だってのか。

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