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金ぴか

 それからそれから。


 騎士団は再びメインガンまでの道のりを歩き始めた。

 野営地で盛り上がっていた騎士達はひとまず落ち着きを取り戻したようで、これまでと同じように護衛の隊列を組んで進んでいる。

 変わった事といえば、先頭が俺達とコーネリアじゃなくなったことだ。経験豊富な年長の騎士が先導し、馬車には俺とアイリスが随伴する。セレンの身の安全を第一に考えたようだ。


 コーネリアはというと、騎士の隊列を行ったり来たりしながらしきりに部下達に話しかけていた。

 俺の言ったことが効いたのだろうか。

 ほとんどの騎士達は疎ましそうにしているが、中にはコーネリアに好意的に接する奴らもいるようだ。大抵は若者だ。そりゃ、あんな美人に話しかけられたら悪い気はしないわな普通。


「セレン」


「なに?」


 俺は開いた窓に近づき、小声で話しかける。


「今コーネリアと話してる奴ら。どう思う?」


 窓から顔を覗かせ、隊列を一瞥するセレン。


「彼らは騎士爵の若者達。騎士団の中では、比較的彼女に対する隔意は弱い」


「そうなのか?」


「年上の騎士と折り合いがつかないせいで、結果的に彼女を好意的に見ているみたい」


「ああ。なるほど」


 そういうことならなんとなく理解できる。


「よく見てるんだな」


「仮にも王女だから」


「やっぱり、俺じゃなくてもよかったんじゃないか?」


「それは違う」


 そうだろうか。

 セレンはちゃんと人の上に立つ者としての資質を備えているように思うけど。


「家族だからこそ、どうしても甘える部分が出てくる。あたしも、彼女も」


「まぁたしかに。そういうところもきちんと分かっているんだな。さすがはお姫様」


「それほどでもない」


 さりげなく窓が閉じられてしまう。セレンは無表情だが、なんとなく鼻を高くしているだろうということは伝わってきた。

 まぁ、メインガンに着くまでにはコーネリアも少しは変わっていることだろう。そう願うわ。

 しばらくそんな感じで進んでいると、ある時隊列の先頭から大声が飛んできた。


「敵だ!」


 皆に緊張が走る。


「アイリス」


「はい。王女はお任せください」


「頼む」


 俺はすぐさま先頭に馬を走らせる。

 そこでは前列の騎士達が数人、戦闘態勢を取っていた。だが、その表情は引き攣っている。なんだなんだ。


「あれは……まさか……」


「ありえん……どうしてこんなところに……!」


「神は、我らを見放したか」


 騎士達はことさらに絶望感を醸し出している。

 彼らの視線の先には、一体のモンスター。

 黄金の甲冑に身を包んだ異形の戦士だった。その全身から、漆黒のオーラ、いわゆる瘴気が噴き出している。


「魔王軍の、四天王だ」


 なんだって? あいつが?


「おいおい。魔族は神の山に引きこもってるんじゃないのかよ」


 俺が言うと、騎士らはすごい形相で俺を見た。


「だからありえんと言っているのだ! よもや、こんな場所に!」


「もう、おしまいだ……! 俺達はここで皆殺しにされる……!」


 ええ。

 うそだろ。


 騎士達がこんなに絶望するなんて。

 魔王軍の四天王ってのはそんなにやばいのか。

 やっぱりここは、俺の出番みたいだな。

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