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一時の別離

 その日の夜。


 最後の情事を終えた俺は、ベッドに寝そべってぼーっと天井を見上げていた。

 右隣ではオーサが、左隣では副長が、二人して寝息を立てている。

 オーサの提案で三人でまぐわうことになったのは、僥倖というほかない。いやいや何が僥倖だ。とんでもないことを言うな。


 ともかく依頼を果たした俺は、百人連続斬りをした後だというのに元気だった。体力には自信があるから、それくらいじゃ疲れないのだ。

 扉が開く音。家に誰かがやってきたようだ。


「終わりましたか?」


 アイリスの声だ。


「おう。今しがたな」


「お疲れさまですわ。大変なお役目だったでしょう」


「それほどでもないさ」


 俺はベッドから出て、服を着る。


「アイリス。エルフのみんなを頼めるか。連邦に入る手段がないだろ。お前の力で送ってやってほしい」


「構いませんが、マスターはどうなさるのです?」


「俺は帝国に行く」


「今からですか? 彼女達が起きるのを待たず?」


「ああ。時間が惜しいからな。他に気になることは山ほどあるが、ひとまず今はエレノアが最優先だ」


「わかりましたわ」


 エルフ達なら大丈夫だと思う。俺は約束を果たした。明日になればオーサ達は連邦に着くはずだ。


「じゃあな。頼むぞ、アイリス。何かあれば念話灯で連絡する」


「はい。お気をつけて。エルフの皆様を送り届けたら、わたくしもすぐに後を追いますわ」


「来てくれるのか?」


 アイリスはまだ記憶を取り戻していない。俺のことをマスターを呼ぶのは、なにかしら心境に変化があったからだろうが、根本的には変わっていないと思う。


「マスターと共にいれば、わたくしにも真実が見えてくるかもしれませんから。サラちゃんやメイド長だけ知っているのは、ずるいですわ」


「はは。違いない」


 アイリスのやつ。今度はずるいと来たか。

 なんだか、どんどん人間っぽくなっている気がするな。


「わかった。けど無理はするな。サラに助けが必要なら俺のところには来なくていいし」


「サラちゃんなら、きっと行けと言いますわ」


「……たしかに」


 こりゃ一本取られたな。


「なら、向こうで待ってる」


「ええ。しばしのお別れですわね」


「ああ。またな」


「はい」


 小さく手を振るアイリスに別れを告げて、俺はオーサの家を後にした。


 さて、久々の一人旅か。

 気張って行こうぜ。エレノアの身に何が起きているのか。しっかり調べないといけないからな。


 まずは、ヴリキャス帝国にいく手段を探さないと。

 まぁ、一応心当たりはあるんだが。

 どうなるものかな。

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