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十人十色

 翌朝の日の出に合わせて、俺達はエルフの森へと足を踏み入れた。

 この時間ならエルフも目を覚ましていることだろう。


「マスター、あれを」


「ん?」


 里までの林道に、でっかいモンスターの死骸が転がっていた。


「ありゃ、キマイラだ」


 俺がぶっ殺したやつとは別の個体だろう。魔法でボコボコにされたらしく、見るも無残な状態だった。すぐに獣に喰われてしまうだろう。


「うーん。里が無事か気になるな。急ぐか」


 俺とアイリスは森の中を駆け出した。

 木から木へと飛び移りながら、凄まじい速度で突き進んでいく。その動きはさながらジャパニーズニンジャ的だった。

 史実の忍者じゃなくて、創作物に出てくるニンジャ的な。言わなくてもわかるか。

 里にはすぐに辿り着いた。


「よかった。特に何もなさそうだな」


「平和そのものですわね」


「うむ」


 里に現れた俺を発見したエルフ達が、口々に黄色い声をあげ始める。


「みんなー! ロートス様が来られたわ!」


「きゃー! ロートス様ーっ!」


「ロートス様ー! こっち見てくださーい!」


「ステキー! 抱いてー!」


 身目麗しいエルフ達が一挙に集まってきた。相変わらずのきわどい服装である。肌の九割九分九厘が露出してるやん。

 ちなみにこの娘達、全員種付け済である。


「あー。オーサはいるか? 大事な話があってきたんだが」


 俺が苦笑交じりに言うと、


「私、呼んできます!」


 何人かのエルフ娘が駆けていった。

 ありがたい。

 しかし、大多数のエルフ達は俺に群がってキャーキャーしている。出待ちされたアイドルですか。決して悪い気はしないし、どちらかというと最高の気分だが、こんなことで浮かれるほど子どもじゃないぜ俺は。


「あー。ちょっと一旦落ちつこう。めちゃくちゃで、どうにもならないから」


 アイリスなんか微笑みのままささっと距離を取って遠巻きに眺めている。ありゃ完全に引いているやつだな。

 俺はエルフ達の大小様々のおっぱいを一人一人押して、密着した状態から離れさせた。

 エルフ達はおっぱいを触られたものだから、


「きゃーロートス様に触ってもらっちゃった!」


 などと喜んでいるが、それはどうなんだ。あれ、エルフってこんなアホな感じだったっけ?

 まぁいいや。


「ちょっと聞きたいんだけど。ここに来るまでにキマイラの死体があったけど、あれ、なんか知ってる?」


 俺の質問には、一番近くにいたショートカットのエルフが答えてくれた。


「昨日の昼に里を襲いに来たんです。でも、私達がコテンパンにやっつけちゃいました」


「キマイラってかなり強くて、けっこう苦戦するんじゃなかったのか?」


「それなんですけど……聞いてくださいロートス様!」


「うわ、びっくりした。急に大声出すなよ」


「あたしも含めて、ロートス様に抱いてもらった子達、みんなあれから魔力がすごい強くなったんです! だからキマイラとかマジで雑魚でした!」


「なにそれ」


 どんな因果関係があるんだよ。


「みんな、ロートス様の子種にはすごい力があるって言ってるんです! ウソじゃないですほんとですよ? 肌ツヤもよくなりましたし、心身共にすこぶる健康なんですっ」


「ええ……そんなことある?」


 ううむ。どうやら俺の子種には、謎の効能があるらしい。

 そもそもこの肉体、マシなんとか五世に用意されたものだからな。なんらかの仕掛けが施されていても不思議じゃない。

 俺が首を捻っていると、エルフの人垣を割ってオーサが現れた。


「おや、意外と早いおかえりだったでやんすね、ロートス」


「おう、オーサ。ちょっと頼みがあってな。そこそこ重要な話だ」


「ふむ。わかったでやんす。家で詳しく聞くでやんすよ」


「すまんな。わざわざ出迎えてくれて」


「いいってことでやんす」


 オーサがエルフ達と散らすと、俺はようやく落ち着けた。

 そして俺はアイリスを呼び、オーサの家に向かうこととなった。

 熱烈な歓迎だったけど、これはこれでよかったかもな。おっぱい触れたし。

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