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頼みってなんやねん

 俺達は玉座の間に通された。

 王宮の中央にある、最も大きな建物だ。

 奥行きのある空間に、いくつもの太い柱が規則的に並んでいる。

 砂漠の真ん中にどうやってこんなもんを建てたのか。まぁ、スキルとか魔法があるから可能なのかな。


「ようこそ~。ジェルドのご飯はどうだったかな~」


 アルドリーゼは相変わらずのほほんとした様子で、近づいた俺にそんな言葉をかけた。


「うまかったぜ。かなりな」


「そいつはよかった~。シェフが腕によりをかけたって言ってたからね~」


「そうかい」


 オルタンシアは俺の腕を抱き、俯いている。女王が怖いのだろうか。


「アナベルはどこだ?」


「おねんねしてるよ~。余の部屋で」


「聞いたぜ。オルたそにあんまり会わせてやってないみたいじゃねぇか。人の子どもを取り上げるなんて、ジェルド族ってのは非道なことをするんだな」


「あはは~。それは承知の上だね~」


 アルドリーゼに反省の色はない。


「でもさ~。考えてもみてよ~。その子は聖母。神の子を孕んだんだよ? 生まれてくる子はただの子どもじゃないの~。普通の親子みたいに暮らすなんて、それは無茶ってもんだよ~」


「俺は人間だぞ」


「人間だからって、神じゃないとは限らないでしょ~」


 人間でもあり神でもある。それが俺だということか。


「俺が現人神だと? そう言いたいのか?」


「だって、救世神なんでしょ~?」


「ジェルド族ではそうなってるみたいだな」


 まったく誰が言い始めたのやら。この場合は、オルタンシアってことになるんだろうけど。 


「まぁまぁそんな話は置いておいて~。二人には大切な話があって呼んだんだよ~」


「とりあえず、その話を聞かせてもらおうか」


「へ~い」


 アルドリーゼは手元のグラスをぐっとあおった。中身は酒だろうか。ぷは~っとかわいらしい息を吐く。


「いやね。キミが亜人連邦の使者っていうのを見込んで、頼みがあるんだよ~」


「嫌な予感しかしないな」


「いやいや~。キミにとっても悪くない話だと思うよ~。それに余は、亜人達を王国の支配から解放してあげた立役者だよ~。もっと敬意を払ってもらわないと~」


「王国から解放して、お次はジェルド族が支配するってか? 感心しないな」


「それは誤解だよ~。うちと亜人連邦はそれなりにいい関係を築いているはずだよ~」


「王国との緩衝地帯にしてるじゃねぇか」


「それは否定しないけどね~。でも、余達だって亜人連邦に物資の支援とかしてるんだよ。持ちつ持たれつってやつさ~」


 なるほど。言い分はわからなくはない。

 やっぱり、今までの歴史とか政治とか。そういったややこしい問題があるせいで、物事は複雑になっている。サラ達が本当の意味で解放されるには、この世界中まるごと変革する必要がありそうだ。


「そんで頼みってのはなんだよ?」


「実はね~。亜人連邦の連邦体制を変えてほしいんだ~」


「なに?」


「連邦をやめて、中央集権化を進めてほしいんだよ~。そうだね~。言うなれば、亜人王国、亜人帝国。そういう感じにしてほしいってことだよ~」


 どういうことだ。

 そんなことをして、ジェルド族に何の得があるというのか。

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