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旺盛じゃ

「うそ。種馬さま……?」


 信じられない、といった風に呆然とするオルタンシアの前に、俺はゆっくり腰を降ろす。


「悪い。随分と一人にしちまった」


「本当に、種馬さま……?」


「ああ。幻じゃないぞ。正真正銘、本物のロートス・アルバレスだ」


「……今まで、どこにいたのですか?」


「すまん。話せば長くなる」


 オルタンシアの手を握り、すっと引き寄せて口づけを交わす。


「ん……」


 色っぽい息遣い。オルタンシアはなされるがままだ。

 俺の舌が、オルタンシアの薄い唇を割って入る。それに対抗するように、小さな舌が絡みついてきた。オルタンシアの湿った舌先が、俺の口内の隅々を確かめるように這いずり回る。


 ちょっと驚いた。

 二年前、オルタンシアに種付けした時は、処女だったこともあってもっと控えめだったんだが。まさかここまで情熱的なキスをしてくれるなんて。

 この二年で積もり募った色々なものが、爆発しているんだろう。


 そのまま何十秒も、いや何百秒も、俺達は激しく舌を絡ませ合う。

 唇がふやけるんじゃないかと思うくらいになって、ようやく名残惜しげに離れるオルタンシア。


「種馬さま」


「オルたそ」


 言いたいことがたくさんありすぎて、言葉にならない。

 それは二人とも同じだった。


「なぁ。ここって、あんまり人こないのか?」


「えと……自分にあてがわれた庭ですし、夕食まであと一時間くらいありますから、それまでは……たぶん」


 それを聞いた直後、俺はオルタンシアを押し倒した。

 ぱしゃりと、彼女の脚が水音を立てて上がった。


「あの……人が来ないと言っても、まったく来ないわけじゃ」


「すまん」


 謝りつつも、俺はとまらない。

 華奢な首筋に唇で触れ、舌で撫であげる。

 淫靡な吐息が、オルタンシアから漏れた。


 今の彼女にとっては、俺のぬくもりこそ必要に思えるんだ。

 だから、多少強引にでも抱く。


 いや違うか。それはおためごかしだ。

 他でもない俺が、オルタンシアを求めているんだ。

 俺のことを憶えていてくれる女との繋がりを欲している。

 そうじゃなきゃ、俺という存在が本当に消えてしまいそうだから。


「あの……久しぶりなので、また、優しくしてください」


「その頼みは、聞けそうにないな」


 お互いの荒い息遣いが混ざり合う。


「今回は俺も、全然余裕がねぇ」


 二年前よりも何倍も魅力的になったオルタンシアを前にしては、普通に考えて辛抱堪らんだろう。

 俺は彼女の服に手をかける。


 褐色の柔肌は、ひんやりとしていて、火照った体に心地いい。

 それでもオルタンシアの中は、火傷しそうなほど熱かった。

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