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そうはならんやろ

 数日後。

 驚いたことに、進んでいくにつれて地域の復興が進んでいた。

 なんでだろうと思っていると、その答えはすぐに明らかになる。


 王都リッバンループ。

 目の前のどでかい城門に、そんな文字が描かれていた。


「そういうことか」


 ブランドンからリッバンループに遷都したのか。


「すっげぇ……!」


 ロロも驚いている。

 気持ちは分かるぜ。

 二年前のブランドンにも匹敵する規模だ。


「あら? あなたは」


 城門の前で、声をかけられる。


「ごきげんよう。この間ぶりですわね」


「アイリス……こんなところで会うとはな」


 涼やかな微笑みのアイリスが、ワンピースの裾を持ち上げて優雅に一礼した。


「一人か?」


「ええ。そちらのお方は?」


「あ。オイラ、ロロってんだ! アニキの知り合いか? よろしくな!」


「はい。よろしくお願いしますわ」


 鼻をこするロロ。ちゃんと挨拶できて偉いぞ。


「アイリスは、亜人にもちゃんと接してくれるんだな! オイラ嬉しいぜ!」


「もちろんですわ。わたくしの親友にも亜人の子はいますし」


「良い奴だなー」


 そうだろう。アイリスはいい女だぞ。もといいいスライムか。

 和やかな雰囲気でよかった。


「アイリスはなんでリッバンループにいるんだ? オイラ達はアインアッカ村に行く途中なんだけど」


「わたくしはここに住んでいるのですわ」


「そうなのかー。オイラ達はこの街はじめてなんだ! 話には聞いてたけど、でっかい街だよなっ」


 アイリスが俺を見る。


「ここでお会いしたのも何かのご縁ですし、よければこの街をご案内しましょうか?」


「いいのか? そりゃ助かるが……」


「かまいませんわ」


 にこりと笑んだアイリスに、思い出を重ね合わせる。

 感傷に疼くより先に、俺は声を出した。


「じゃあお願いするよ。おすすめの宿と、飯屋が聞きたい」


「お任せあれ、ですわ」


 そう言って、アイリスは歩き出す。

 俺とロロはそのしゃきっとした背中を追った。


「こんなでっけぇ街に住めるなんてよ。アイリスっていいとこのお嬢さんかなんかなのか?」


 ロロが尋ねる。


「とんでもありません。わたくしはただのメイドですわ」


 メイドだって?

 どういうことだ。そこで俺は口を挟むまずにはいられなかった。

 許さんぞ。一体俺以外の誰に仕えているというのか。


「メイドって、どこの家で働いているんだ?」


「有名な方ですよ。この国では知らない人はいないかと」


「もったいぶるなよ。誰なんだ」


 ふふっと笑いを漏らし、アイリスは答えを紡ぐ。


「かの『大魔導士』エレノア様ですわ」


 ええ。

 まじかよ。

 どんな因果でそうなった。

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― 新着の感想 ―
[一言] はっきり、お前たちは記憶をうしなってる、って言うのはだめなんですかね?
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