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やるべきことをやるんだよ

「た……種馬さま?」


 オルタンシアはびっくりした表情で俺を見上げる。


「あのなオルたそ。実は俺、地元に何人か関係を持ってる女達がいるんだよ」


 金の瞳をぱちくりさせるオルタンシア。


「何人も、ですか?」


「そうだ。だいたい四、五人くらい」


「……すごいですね。そんなにいるなら、ちゃんとハーレム……です」


 すごいのかな。それって。


「なし崩し的にってわけじゃねぇんだ。俺なりに一人一人と向き合った結果、そうなっちまってた。その時々で誠実であろうとしてたつもりが、大きなくくりじゃ不誠実になってたんだよなぁ」


 実のところ、複数の女性と関係を持ったことに罪悪感がないわけじゃない。

 ただ、開き直っている感はある。

 やっちまったもんは仕方ないから、全員をとことん愛してやるぜ、的な。

 俺の内心とは裏腹に、オルタンシアはきょとんとした顔になっていた。


「力のある男性がたくさんの女性を囲うのは、その、当然なんじゃないんですか……?」


 サラやウィッキーと同じようなことを言っているな。


「ジェルド族じゃそういう文化なのか?」


「あ、いえ。ジェルド族は逆なんです。女王さまや将軍方は、たくさんの男性と関係を持っているらしいですし」


 逆ハーレムってわけか。

 ジェルド族ならそうかもな。


「種馬さまは……そうはお考えに、ならないのですか?」


「王国は一夫一妻制なんだ」


 現代日本もな。


「複数の女と関係を持つのは、不貞にあたるんだよ」


「そうなんですね……」


「そう。だから、今ここでオルたそに種付けすることにも多少の抵抗がある」


 この状況を見られたとしたら、エレノアあたりは確実にキレるだろう。


「あの……抵抗があるなら、どうして自分は、押し倒されたんでしょう……?」


「そりゃ我慢できなかったからに決まってるだろ」


 俺だって溜まるものがあるのだ。

 健康な若い男子なんだからな。

 しかも肉体は十三歳だぞ。こちとら思春期真っ盛りなんですよ。おらぁ。


「いいんじゃないですか……?」


「え?」


 オルたそは頬を染め、目をそらして言う。


「言わなきゃバレませんよ。バレなきゃ不貞じゃありません」


 おいおい。

 なにやら大胆な発言をしている。

 まさかそんな言葉がオルタンシアの口から出てくるとは思わなかったな。


「いいのか? 自分で言うのもなんだが、俺はけっこうダメ男だぞ?」


「……はい。いいんです。強い男性の子を産むことが、ジェルド族の繁栄にも繋がりますし……」


 胸の前でぎゅっと手を組むオルタンシア。


「だから、その……自分に、種付けしてくださいっ」


「オルたそ……」


 そうだよな。

 ごちゃごちゃ考えるよりまず行動する。

 俺は今までそうやってきたじゃないか。


 俺は俺らしくいこう。

 据え膳食わぬは男の恥。


 というわけで、俺とオルタンシアは最高の夜を過ごすこととなった。

 やったぜ。

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