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褒めるとこうなる

 夕暮れ時。

 俺達はこじんまりとした宿場町に到着した。


「あー疲れたな」


「あの、お疲れさまでした……種馬さま」


 馬車を降りながら、オルタンシアが呟く。

 半日の道のりで、俺達は数百を超えるモンスターと遭遇した。その全てが上級モンスターにカテゴライズされる種類であり、王国では滅多に見ない強力なモンスターのオンパレードだった。

 そして、その全てを一撃で葬った俺の力に、『トリニティ』の三人は圧倒されるばかりだった。


「ロートスくん。キミは想像以上に凄まじい力の持ち主だったね」


 ラルスが感慨深げに言う。


「俺達も冒険者のはしくれだ。実力者と言われる者達を数多く見てきたけれど、キミほどの男には未だかつて出会ったことがないよ。エストじゃないけど、まるで神様みたいだ」


「言いすぎだろ、それは」


 確かに俺は強くなっている。

 クソスキルしか持たないただの『無職』だった頃とは違う。

 今の俺は、言うなれば神に等しき力を得ている。


 だけどそれは、もともと人に備わっていた力だ。〈妙なる祈り〉は、魔法でもなければ、神の奇跡でもない。

 人が本来持つ心の強さ。信じる力。

 そういうものだ。


 つまり俺は、異世界人でありながら、この世界の誰よりも人であるのだと思う。

 だから最強なんだよ。

 この世界の枠組みでは最弱でも、本当の意味では最強の座に位置している。


 それは俺が、どこまでも人であるからだろう。

 けれども、エストという偽物の神に傾倒してしまったこの世界の人からすれば、今の俺は神の如き存在なのかもしれないな。


「さ、宿を取ろうぜ。神の山には明日の昼頃に到着する予定だ。今夜はゆっくり休むべきだぜ」


 ハドソンはさっさと宿に入っていく。

 ラルスとミラーラもそれに続いた。


 あの三人、部屋割りどうするんだろ?

 三人一室ってことはないだろうけど。男二人と女一人だし。

 まぁ分からないし、興味もないけどな。


「もちろん俺とオルたそは同じ部屋だ」


「……はい」


「行こう」


 というわけで、二人して宿の部屋に転がり込む。

 小さな宿場町にしては広々とした部屋だった。マッサ・ニャラブとは違い、木造建築が主流のグランオーリスの建物は、趣があるように感じた。

 俺とオルタンシアは、隣り合ってベッドに腰掛ける。


「あの、種馬さま」


「ん?」


 オルタンシアはおずおずと、小さな手を俺の頭の上に置いた。


「いっぱいモンスターを倒して……えらい、えらい」


 そう言って、優しく撫でてくれる。


 おっふ。


 これは思った以上に破壊力が高い。

 同年代の気弱なボーイッシュ美少女が頭を撫でて褒めてくれるというシチュエーションを体験したことのある男は、たぶん世界でも五人くらいしかいないだろうな。

 俺はその五人のうちの一人だな。

 五本の指に入る実力者というわけだ。


 そして俺は、オルタンシアをベッドに押し倒すことに成功した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自らハーレム要員を構成していくロートスいいゾ^〜これ [一言] 段々とコイツ、女の扱いに長けてやがる......ってなる場面が増えてきたけどロートス伊藤誠みたく刺されんなよって思う
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