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無傷で合流するぜ

 アルドリーゼの後についてテントから出ると、サラとアイリスが待っていた。

 どうやらジェルド族の連中は本当に女に興味がないらしく、別に拘束も監視もされていないようだった。それはそれでどうなんだ。


「ご主人様っ」


 サラが駆け寄ってきて抱き着いてきたのを、優しく受け止めてやった。


「大丈夫でしたか? ひどいことされませんでしたか?」


「ひどいことは言われたな。生きる価値のない下等生物とかなんとか」


「え……それってやっぱり『無職』だからですか?」


「いや、どうやらそうじゃないらしい。むしろ、マッサ・ニャラブにとって俺は特別な存在みたいだぞ」


「ボクの方がご主人様のことをより特別な存在だと思ってますよ」


「それは十二分に伝わってるから心配するな」


 やっぱりサラがいると承認欲求が満たされるから最高だな。

 ほんと、世界中の人達が無条件に肯定される日が来ることを切に願うわ。


「マスター。これからどうされるのです?」


 アイリスが傍で尋ねてくる。俺は歩き去っていくアルドリーゼの背中に視線をやった。


「マッサ・ニャラブの女王のところに行く。話があるみたいだ」


「わかりましたわ。ご一緒いたします」


「ああ」


 俺はアイリスに耳打ちする。


「ところで、シーラ達は?」


「皆様いらっしゃいますわ。上手く隠れておいでのようです」


「あいつら、俺が捕まることを分かってたのかな?」


「おそらく。ですがジェルド族がマスターに危害を加えないことも承知だったでしょう。そうでなければ、静観を保ってはいなかったはずですわ」


「こうなることは予測済みってことか」


 今までの傾向的に、守護隊のスタンスはギリギリまで手を出さないって感じなんだろうな。俺が命令した時は別だが、それ以外は俺の自主性というか、成り行きに過度な干渉はしないのだろう。

 陰のように付き従うってのはこういうことなんだな。

 あくまで主体は俺で、守護隊はそれを補助する存在。守護隊が俺の人生の行く末を決めることはあってはならないのだろう。

 なんとなくだが、そういう風に思える。なんとなくな。


「よし。じゃあ女王のテントに行こう。マッサ・ニャラブの侵攻の目的と、あわよくばエストを倒すいい方法も分かるかもしれないしな」


 そういうわけで、俺はサラとアイリスを伴ってアルドリーゼのテントに向かうことになった。

 サラとアイリスはともかく、俺はマッサ・ニャラブ軍から監視されているようで、周囲を女兵士で固められている。

 別に逃げたりしないって。

 俺にも一応目的ってやつがあるからな。

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