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感動の再会

 そりゃそうだよな。

 シーラは音もなく立ち上がり、顔を上げる。

 その紅い瞳は、まっすぐサラを見つめていた。


「久しぶりね。サラ」


「あ」


 サラの目に涙が溜まっていく。


「シーラさん!」


 サラは椅子を蹴るような勢いで、シーラに駆け寄り、そのまま抱き着いた。


「治ったんですね! よかった……! 本当によかった……!」


 シーラもサラを抱き返す。


「主様のおかげよ。貴重なエリクサーを、あたしに使ってくださったの」


「主様……? シーラさんも、ご主人様の従者になったんですか?」


「そうよ。あなたの立ち位置とは少し違うけど、しもべという意味では同じかも」


「ええっ。すごいです! 一緒にご主人様にお仕えできるなんて、夢みたいですね! ご主人様は世界一のご主人様ですから!」


「よくわかっているわねサラは」


「えっへん」


 照れるぜ。うん。


「でもねサラ。主様だけじゃないのよ。主様のお仲間があたしの治療に力を尽くしてくれたの。ウィッキーもその一人」


 おお。


「……お姉ちゃんが?」


「そうよ。あの子も罪悪感に苛まれていたのでしょう。主様をお助けして、私のところまで連れてきてくれた。あの子なりの贖罪だったと思うの」


「でも、そもそもシーラさんがあんな状態になったのは――」


「――いいのよ。あたしは『ツクヨミ』の中で永い時間を過ごしたけれど、そのおかげで主様のお役に立てる知恵と知識を身に着けることができたんだから。それに今は、あの子も共に主様に仕える仲間よ」


 ウィッキーが従者になった覚えはないから、仕えるという表現は厳密には違う。けど大体合ってるからまあいいか。


「シーラさんは、お姉ちゃんを恨んではいないんですか?」


「もう許したわ」


「なんでそんな簡単に許せるんです」


「それが主様の願いだから」


 シーラとサラの視線がこちらを向く。


「ご主人様の……」


 意味深な視線を送ってくる二人に、俺は何と言おうか迷う。


「まぁ、なんだ。俺が必死こいてエリクサーを手に入れたのは、サラとウィッキーの仲直りの為だったからな。俺の頑張りを無駄にしないためにも、姉妹喧嘩は終わりにしてもらえると助かる」


「ご主人様がそう仰るなら……」


 渋々といった風に、なにやらごにょごにょ言っているサラ。

 それを見たアイリスが上品な笑いを漏らした。


「事態が落ち着いたら、姉妹でゆっくり話し合うといいですわ」


「そうだな。それがいい」


 エストを倒して亜人が差別されないようになったら、サラとウィッキーにとっても生きやすい世の中になるだろう。そうなった時、姉妹仲が悪いってんじゃ、残念なことこの上ないしな。

 先生と一緒に研究室にこもったウィッキーが出てくるのは、いつになることやら。

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