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ラスボス的なやつ

 とか言いながら、まぁ生き返るんですけどね。

 肉体の損傷はすべて元通り。俺はすくっと立ち上がると、本丸へと駆け込んだ。大仰な門を蹴破り、エントランスに突入する。


(どういうことだい? 確かに死んだはずだ。そういえば、前にもこんなことがあったね。なるほど。それがキミの力なのか)


「いやぁ。実のところ、これが俺の力なのかエンディオーネの加護なのか分かってねぇんだわ」


 うーん。俺のチートがエンディオーネから与えられたとするなら、どっちでも同じなのかもしれないけど。


「ま、とにかく今そっち行くからな。待っとけよ」


(おもしろい。首を長くして待っているよ)


「洗って待っとけ」


 すぐさま走り出し、クソ長い階段を駆け上がる。

 これを上るのは二度目だが、相変わらず信じられない高さだ。臨天の間というだけあって、天に最も近い位置にあるんだろうな。

 馬鹿と煙は高いところが好きというから、マシなんとか五世は規格外の馬鹿なんだろう、きっと。

 階段を素早く駆け上がり、臨天の間に到達する。金と銀、そして色とりどりの宝石で装飾された大扉。


「おりゃあ!」


 大扉を蹴破る。

 蝶番が壊れ、扉がぶっ飛んでいく。

 その瞬間、琥珀色の光が閃く。構うことはない。

 そのまま駆け込み、大伽藍の中を進んでいく。

 いたんだよ。そこに。


「サラ!」


 クリスタルが、琥珀色の光を放っている。


(よくぞここまでたどりついた、とでも言うべきなのかな?)


「別に大した障害もなかったさ」


 そんなことより。


「サラを返してもらう」


(キミは頭がよくないね。こんな状態のまま下界に連れ帰ったら、どんなことになるか分からないのかい?)


 コッホ城塞の惨状を、魔法学園で再現してしまう。

 それくらい分かるさ。


「一応、考えがあるからな。お前がそんなこと気にする必要はねぇ」


(いやいや。別に僕は世界を滅ぼしたいと思っているわけじゃない。むしろ人々を救いたいと思っているんだ。偽りの神から解放され、正しき母の許に還る。それでこそ世界は秩序を取り戻すというものさ。そういう意味では、キミと僕は同じゴールを目指していると思うんだけど、どうかな?)


 エストからの脱却という点では、そうかもしれないな。

 だが、ファルトゥールを認めるわけにはいかないぜ。


「サラの身体を奪おうっていう奴と仲良くやれるかよ」


(世界の人々と、たった一人の小娘を天秤にかけるのかい? なんて愚かなんだ)


「は? 黙れよ」


 命の重さを比べてるわけじゃない。

 どっちを取るとか切り捨てるとか、そんなレベルの低い話はどうでもいい。


「サラを助けて世界も救う。俺がそれをやるから、てめぇはもう寝てろ」


(相容れないか……)


 マシなんとか五世は、本当に残念そうに呟く。

 こいつは心の底から、俺と分かり合えると思っていたのだろうか?

 いや、違うな。俺を分からせることができると思っていただけだ。こっちのことを理解しようなどとは微塵も思っていない。


(じゃあ、殺すしかないよね。キミを)


「馬鹿が。死ぬのはてめぇだ。歯車ヤロー」


 クリスタルの向こう側、ゆっくりと稼働する巨大な機械仕掛けを見据え、俺はゆっくりと歩きだす。


「サラ、もう少しだけ待っててくれ。すぐに終わらせる」


 やるぞ。

 紛うことなき決戦だ。

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