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死天衆とか

 まずは城を出なければ。

 城門をくぐればすぐに大通りだ。迷うことはない。


「開いて大丈夫なのかしら、城門」


 城門を開こうとしたところ、エレノアが不安そうに呟いた。


「大丈夫じゃなくても開くしかないだろ」


「でも、城が落とされたら終わりなんでしょう?」


「まぁ……」


 直後、俺達が開くまでもなく、分厚い城門は粉々に吹き飛んだ。


「なんだ!」


 あんな頑丈そうな城門が壊れただと。

 破城槌でも持ってきたか。


「ふはは。防護魔法がなければ、城壁などこんなものか!」


 豪快な男の笑い声が響く。


「まったぁく、貴公とぉきたぁら、殴って破壊すぅるしぃか能がなぁいのぉか」


 次は、皮肉っぽい青年の声。


「おもしろ」


 そして端的な女の声。

 なんだこいつら。


 男二人に女一人。現れた三人組は、ずかずかと城門をくぐる。

 そして、俺達の前で立ち止まった。


「ふはは。お前たちが最後の壁というわけか!」


 豪快な男が筋骨隆々の腕を掲げて笑う。


「なんだてめぇは」


 マホさんがグレートメイスを振りかざし、威嚇するように尋ねる。


「よくぞ聞いてくれた! 小生はウッディ! コルト死天衆の一人。『腕力』のウッディとは小生のことだ!」


 コルト死天衆だと?

 なんだその少年漫画の敵役に出てきそうなグループは。


「拙者はぁ、同じぃくコルト死天衆のぉ一人。『脚力』のぉレッガン」


 皮肉そうな青年が続き、


「ミーは同じく『体力』のミーナ。かっこい」


 若い女も名乗る。別にかっこよくはない。どちらかというと、ちっぱいのかわいい系だ


「三人合わせてコルト死天衆! どうぞよろしくな!」


 そしてウッディが締めくくった。

 コルト死天衆ってことは、親コルト派の精鋭部隊みたいなもんか。


「おい三羽烏。お前らは、城を盗りに来たってことか?」


「三羽烏ではぁなぁい。けれど城は盗りに来たぁのはぁ正解」


「どうやって城門まで来た」


「みんなスキルと魔法が急に使えなくなったから、肉体のポテンシャルだけで戦うミー達の天下になった。うれし」


 なるほどな。

 俺のチートも万能じゃないってことか。必ずしも有利になるわけじゃないと。

 しゃあないか。


「みんな、時間がないけどこいつらを放ってはおけない。任せてもいいか」


「ではあたしは『腕力』を処理します。他の者は主様の護衛につけ」


 シーラが前に出る。守護隊のみんなは俺を守るように布陣してくれた。


「ウチは『脚力』やるっす。なんか弱そうっすから」


 ウィッキーもやる気満々だ。


「じゃあアタシは『体力』のアマをやらせてもらうぜ」


 マホさんがグレートメイスを振りかざす。

 みんな心強いなぁ。


 でもなんでタイマンに持ち込む前提なんだろう。集団戦という考えはないのだろうか。

 いいけどさ。


「ふはは! 小生の『腕力』を思い知らせてやろう! 強いからな!」


「拙者ぁの『脚力』もぉ天下一ぃ」


「ミーの『体力』はすべてを超越してる。すご」


 そして、戦いは始まった。

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