表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
260/1001

やるしかないんじゃ

「どうしてあんたが……」


「某は任務中でしてな。のんきに立ち話をしている暇はありませぬ。さぁ、その女をこちらに」


 おい。マジでどういうことだ。


 だが、今はそんなことを考えている場合じゃない。

 俺はマホさんの傷口に触れ、医療魔法を行使する。


「無駄なことはおやめなされ。その傷は特殊な武器でつけられたもの。医療魔法では治りませぬ」


 エルゲンバッハが言っている最中。マホさんの傷はみるみるうちに塞がっていく。数秒後には傷跡もなく、綺麗な白い肌へと戻っていた。


「……これは驚きましたな。ロートス殿。よもや貴殿がそのような力をお持ちだったとは」


 場はにわかに騒然となった。

 エルゲンバッハ含め、周囲の兵士達も驚いている。その驚きようはすさまじく、まるで神の姿でも目の当たりにしたかのような困惑ぶりだった。


「マホさんっ。だいじょうぶなの?」


 エレノアの問いに、マホさんはなんとか頷く。傷は塞がったんだ。応急処置としては上々だろう。あとは、マホさんの生命力に委ねるしかない。


 マホさんを心配するエレノアに代わり、俺がエルゲンバッハの前に立つ。


「これはお前らの仕業か」


「いかにも」


「この人はエレノアの従者だぞ。いったい何のつもりだ!」


 思わず声を荒げてしまう。

 マホさんは、俺の幼馴染でもある。幼い時によくしてもらったお姉さんだ。

 彼女がこんな目に遭わされて、冷静でいられるかってんだ。


「落ち着きなされロートス殿。その女は、ヘッケラー機関の工作員であり、帝国の間者であるとの容疑がかけられておるのです」


「なんですって。そんなのあるわけないじゃない!」


 エレノアの反論。

 そうだ。確かにそれは誤解だ。マホさんが機関にいるのには理由がある。


「それだけではありませんぞ。その女、裏で世界を操る神族会議という組織の一員でしてな。健全な社会の確立のためにも、野放しにはできぬのです」


 まじか。

 そこまで知っているのかよ。


「マホさんはずっと私と一緒にいたのよ! 私が生まれた時からずっと! そんなことできるわけないじゃない!」


「貴女の目が節穴だっただけですな。現にロートス殿の反応を見るに、どうやら全てご存じのようだ」


「え?」


 エレノアが俺を見る。


「ロートス……そうなの?」


 くそ。

 話をややこしくすんなよこのジジイ。


「俺が言える確かなことは」


 正体がどうとかじゃなくて。


「マホさんを傷つける奴は許さねぇってことだ」


 エルゲンバッハの眼光が鋭くなる。


「アイリス!」


「御意」


 打てば響く。その瞬間、アイリスが動いた。

 こうなっちゃ仕方ない。困った時のアイリス頼みだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ