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新たなる真実にお腹いっぱい

 目が覚めた時、窓からは赤みのある陽光が差し込んでいた。

 うわ。もう夕方かよ。


「あつい」


 汗ばんだ肌にシーツが張り付いて不快だ。

 俺は思わず体を起こす。


「ふぅ」


 隣では、白い肌を晒したエレノアが静かに寝息を立てている。

 和む。


「よお。やっとこさ起きやがったか」


 テーブルの椅子に深く腰掛けたメイド服の少女が、嘆息混じりに声を投げかけてきた。


「マホさん? いつの間に」


「いつの間に、じゃねぇよ。ここはアタシの部屋でもあるんだからな」


 もう一度、深いため息を吐くマホさん。


「お尋ね者だってのに呑気なもんだぜ。今の自分の立場、ちゃんとわかってんのか?」


「一応は」


「まったく……大人物か、ただの馬鹿野郎か」


 どっちでもいいさ。どちらも互いに矛盾するもんじゃないだろうし。


 俺はベッドから出ていそいそと服を着る。

 シャワー浴びたい。

 俺は頬を叩き、寝ぼけた意識を覚醒させる。よし。


「マホさん。ちょっと話、いいですか」


「なんだぁ? エレノアだけに飽き足らず、アタシにまで粉かけるつもりか?」


「マホさんが魅力的なのは認めるけど、今はその話じゃありません」


 彼女の向かいに腰を下ろし、俺は乾いた喉を唾で潤した。


「ヘッケラー機関と、プロジェクト・アルバレスの件です」


 マホさんの表情が変わる。呆けていた目が鋭くなり、刃物のような視線で俺を射抜く。


「お前さん……知っちまったか」


「成り行きで」


「エレノアには」


「重要なところは話してません」


 マホさんは眠りこけるエレノアを一瞥する。それから天井を仰ぎ、再三のため息を吐いた。


「アタシから言えるこたぁ何もねぇな。そもそもアタシはほとんど何も知らされてねーんだ。機関の中でも末端も末端だからな」


「コッホ城塞に行ったことあります?」


「いや。それどころか、村の中でも誰が機関の構成員なのかも把握しきれてねぇ。お前さんとエレノアの両親の、四人だけだ」


 ふむ。

 そういうことか。ならマホさんも、機関の思惑に振り回される側の人間かもしれない。


「マホさんの年齢って、本当はいくつなんです?」


「なんだよその失礼な質問は。脈絡もなにもあったもんじゃねぇ」


「すみません。でも、そんなことを匂わせる発言をしてた気がして」


 カード村での戦いの後にな。


「……ロートス。お前さん、一体どこまで知ってんだ」


「大体のことは、教えてもらいましたけど」


「神族については、どこまで知ってる」


「しんぞく?」


 神様のことか?


「最高神エストが、この世界の法則を擬人化したもの的な話は把握してますが」


 マホさんが真剣な顔で腕を組む。胸の形が強調され、俺はそこをガン見した。


「最高神エストと神族は、まったく別物だぜ。神族はエストと違って、意思のある生物だ。人間が生まれるはるか昔からこの世界に生きる、原初の種族ってやつなんだ」


「ええ?」


 なんだそれは。初耳だ。

 また俺の知らない真実とやらが出てくるのかよ。流石に頭がパンクするんじゃないか。脳みそに外付けSSDでもつけたい気分だ。


「どういうことですか。詳しく聞かせてください」


 マホさんは姿勢を正し、真正面から俺と目を合わせた。


「まず一つ教えておくとな。アタシはその神族の末裔なんだ」


 なんてこった。マホさん、実は神様だった説浮上かよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゆうべはおたのしみでしたね
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