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これは二度目の再会

「生きてたのね!」


 何を言われるかと思えば、エレノアはまっすぐに俺の胸に飛び込んできた。

 え。これは想定外の事態だ。


「おいエレノア。ちょっと、どうしたんだよ」


「どうしたもこうしたもないわよ! アインアッカ村が亜人に占領されて、あなたも殺されたんじゃないかって……でも、見つからないし。とっても心配したのよ」


 涙ぐんだ瞳で見つめられ、俺は束の間の戸惑いを覚えた。

 そうだった。エノレアの中では、俺はアインアッカ村にいることになってるんだっけか。エルフの森で再会した後、村に戻ったと思っていたのだろう。

 それで、亜人連合がアインアッカ村を占領した報せを聞いた。俺のことを心配するのも仕方ないと言える。


「そうか。おじさんとおばさんは? それに、俺の両親を見たか?」


 エレノアはふるふると首を横に振った。


「いいえ。うちの親も、ロートスのご両親も見つからなかったわ」


「そうか……」


 ほかの村人がどうなったかは分からない。あの村はヘッケラー機関の隠れ蓑だから、亜人連合に手を貸している可能性だって十分にある。なんせ神父が加担していたんだからな。村ごと王国に反旗を翻してもおかしくはない。


「でも、あなたが無事でよかった」


 俺をぎゅっと抱きしめ、胸に顔をうずめてくるエレノア。

 心配をかけたようだ。悪いことをした。後ろめたいのは否めない。


「感動の再会ってやつだな。めでてぇこった」


 エレノアの後ろで、マホさんが口を開く。


「それはいいんだけどよ。その女がお前さんと一緒にいるってのは、一体どういう事の運びだ?」


 その視線は、俺の隣に向けられている。


「え?」


 エレノアはマホさんの指摘を受け、彼女の視線を追った。


「アイリス?」


「ごきげんよう」


 慇懃に一礼したアイリスは、二人から胡乱な目を向けられる。

 俺から体を離し、咳ばらいをするエレノア。


「どうしてここに? あなたも学徒兵として派遣されたの?」


「いいえ。そうではありませんわ」


「だったらどうして?」


 アイリスは俺にアイコンタクトを送ってくる。なんと言うべきか、と指示を仰いでいるようだ。


 事ここに至っては、もはや隠す意味もないだろう。

 全てを打ち明けよう。


 しかし。


「おい! こんな場所で話し込むなよ。邪魔でかなわんぞ」


 衛兵に怒られてしまう。

 たしかに門の前でするような話じゃなかったな。でも突発的な再会だし仕方ないだろ。


「実はわたくし達は、この総督府に用があってきたのですわ。けれど、この方に門前払いをされていまして」


 衛兵の横やりをうまく利用して、アイリスがそんなことを言い出した。


「そうなの? ロートス」


「まぁ……そうだな。アイリスの言う通りだ」


 途端。エレノアの表情が凛々しくなり、強面の衛兵をきつく見上げた。

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