表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/1001

スライムってやばいんだ

 俺はサラを連れてメダルの場所まで駆け込んだ。

 辿り着いたのは広場だ。鬱蒼とした森の中、そこだけ不自然に切り開かれている。


 まず目に入ったのは、信じられないくらい大きな半透明のモンスター。


「これがスライムかよ……?」


 俺は乾いた笑いを漏らしながらそれを見上げる。

 転生前によくお世話になっていたコンビニエンスストアくらいのでかさだ。イメージしていたバレーボールくらいのもんじゃない。


「デカすぎるぜこれは」


 思わず呟いてしまう。そりゃそうだろ。


「ご主人様見てください。イキールです」


 サラに言われて視線を動かすと、戦闘不能になった騎士を守るようにイキールが剣を構えていた。奴の体は黄金の光に包まれていて、スキル『剣聖降ろし』を発動していることが窺える。


「くそっ! なんなのだこのスライムは! まるで攻撃が通じない!」


 ご丁寧に状況を説明してくれたな。たしかにあれじゃ、物理攻撃は通らなそうだ。


「どうします?」


「決まってる。メダルを取りに行くんだ」


「助けないのですか?」


「バカ。そんなことしたら目立つだろ。あいつと共闘するだけでも話題になりそうだってのに」


 とにかく目立つ行動はなしだ。


「行くぞ。走れ!」


「はいっ」


 俺とサラはさっさと巨大スライムの後ろに回り込む。

 広場の中央には台座があり、そこに何枚ものメダルが置かれていた。


「これだな」


 メダルを回収し、そそくさと広場を離れる。

 イキールはスライムと戦っているが、動けなくなった騎士を守るため徐々に追い詰められていく。


 ありがとうイキール。お前の尊い犠牲は忘れないよ。


 広場から少し離れたところで、俺とサラは立ち止まった。


「さて、無事回収できたが……このまま戻るわけにはいかないな」


「え、どうしてです?」


「考えてもみろ。こんなに早く試験をクリアしちまったら、スペリオルクラスに入れられかねないだろ。俺はベースクラスあたりを狙いたいからな。明日の早朝くらいに戻るつもりだ」


「なにがなんでも目立ちたくないんですね……」


「当たり前じゃ」


 走ったせいで乱れた息を整えて、俺は来た道を戻りだす。


 しかし。


「ご主人様、待ってください。誰か来ます」


 サラが俺の手を掴んだ。


「この声は、さっきイキールと言い合いをした女の人ですね」


「エレノアか?」


 なんでわざわざここを選んだんだあいつは。あんな化け物みたいなスライムがいるんだぞ。


「隠れるぞ。こっちだ」


 俺はサラを引っ張って、近くの茂みに倒れこんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ