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強欲の森林

 しばらく歩くと、ダンジョンに到着した。

 王都の外。外門から徒歩数分のところにある森の入口だ。


「ここが強欲の森林……見た感じ、ただの森だけどな」


「中がダンジョン化してるんでしょうね。たぶん、入ると一気に雰囲気変わりますよ」


「ふーん。そういう仕組みになってるのか」


 この世界に生まれて十三年。実はダンジョンに入ったことはない。そんなことをしなくても生きていけるし、そもそもスキルのない子どもがダンジョンに潜るのは自殺行為だからだ。


「実際のところ、ダンジョンってなんなんだ? なんでそんなものができる?」


「うーん。いざそう言われると説明しにくいですね」


 サラは首をひねって考える。


「何かの理由で魔力が濃くなった場所にできるって聞いたことはあるんですけど、よくわかりません。なんで魔力が濃くなったらダンジョンになるのかとか、ダンジョンにはモンスターが生まれて、でも外に出てこないのはどうしてとか」


「謎に包まれているんだな」


「そうですね。専門家なら何か知ってるかもしれませんけど」


 まぁ、機会があれば学園の講師にも聞いてみよう。


「よし、じゃあ中に入るぞ。サラ、準備はいいか?」


「はい。かならずご主人様をお守りします」


「ふざけんな。お前が守られるんだよ」


 年上の男が年下の女を守る。これが俺のポリシーだ。譲れない信念ってやつだな。

 主人とか奴隷なんて俺にとっちゃどうでもいいことだ。


「……やっぱり発情してもいいですか?」


「それはだめ」


 とういうわけで、俺達は森の中に足を踏み入れた。

 イキールは数分ほど前に中に入っている。あいつの性格を考えるに、モンスターがいたら率先して戦ってくれるだろう。俺はその後に、悠々と歩いて踏破する。我ながら完璧な作戦だ。


「暗いな……」


 強欲の森林、内部。


 先程まではただの森だったのが、一歩進んだだけで急に景色が変わっていた。

 空は陰り、まるで夜だ。


 鬱蒼とした森はじめじめしていて、不快指数がマックスだった。


「ボクは夜目が利きますので、ご安心ください。先に進みます」


「いや待て。夜目が利くからといって油断するな。そういう慢心があると予想外の出来事に足を掬われるんだ。ゆっくりと、気をつけていくぞ」


「はいっ。さすがはご主人様。いい加減に見えて、ちゃんと考えていらっしゃるんですね」


「当たり前だ」


 適当に言っただけだったが、サラの中の俺の株は爆上がりのようだ。

 これが帝王学ってやつだな。


 とはいえ、事前の情報通りモンスターなどどこを見渡してもいない。イキールが狩ったのかもしれないが、それにしてもまったくいないというのは幸いだった。

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