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生き残った者達

 気が付いた俺の目に映ったのは、ぼやけた馬車の天井であった。

 後頭部に柔らかい感触。黒いローブの人影。どうやら俺は、ウィッキーの膝枕で寝ていたようだ。


「よかった、ロートス。目が覚めたっすね」


 上から覗きこんだウィッキーが安堵の表情を浮かべる。

 俺はウィッキーの大きなおっぱいを指でつつき、自身の無事を悟った。


「あ……ちょっとロートス。こんなとこで――」


「助かったのか? 俺は」


 未だ曖昧な視界の中で、俺はうわ言のように呟く。


「みんなは?」


 俺の事より、ウィッキーやセレンが無事に脱出できたのかが重要だ。


「へいき」


 声の方を見ると、馬車の座席でセレンが相変わらずの無表情を浮かべていた。


「シーラは?」


「御者」


「そっか」


 窓の外を見やれば、シーラが手綱を握っている。それだけでなく、何人もの騎馬隊が馬車を守るように追随していた。アルバレスの守護隊の奴らだ。


「まったく。なんであんなところにおったんじゃ。まともな方法でピストーレの坊やに挑むなど笑止千万じゃぞ」


 アカネはのじゃロリモードに戻っていた。セレンの隣でくつろいでいるようだ。細い脚をかっぴろげて、パンツ丸見えである。

 どうやら全員脱出できたようだな。危ないところだったが、なんとかなったか。


「……なんだったんだあの野郎は。機械の体で、壊しても復活するとかチートだろ」


 なんで俺じゃなくてあいつにチートがあるんだよ。おかしい。


「奴はもともとあんなんじゃよ。運命を操るスキル『ホイール・オブ・フォーチュン』は、自らの死の運命をなかったことにする。それと同じく、相手に死の運命を押し付けることもできる。ゆえに、適当な攻撃魔法でも必中の上、一撃必殺の威力を持つのじゃ」


「なんすかそれ……どうやって対抗するんすか」


「まさに超絶神スキル」


 ウィッキーとセレンもほとんど呆れかえっている。

 最高神エストとやら、世界のバランスをちゃんととれよって感じだ。


「でも、俺達全員無事だよな? あいつのスキル発動してなかったんじゃないのか?」


 俺はバカスカ死んでたけど。まぁ結果として死に切ってないし。

 ゆっくりと、アカネが姿勢を正し、ぱちんと手を叩いた。


「どこから説明しようかの。あの坊やに関わった以上、おぬしらも世界の真実を知る必要があるじゃろう」


「世界の、真実?」


 セレンの瞳に興味の光が生まれる。こりゃ珍しい。

 アカネがしたり顔で頷く。


「機関が暴いた世界の真実。これを知っているのは機関でもごく少数の幹部のみじゃ」


「なんでアカネがそれを知ってるんだよ」


「当然じゃろ。ヘッケラー機関はわらわが立ち上げたのじゃからな」


 なんだと?

 驚きの事実だぞそれは。もしかすると、機関にはダーメンズ家が絡んでいるのか?


「まぁ今それは重要ではない。そうじゃな……」


 アカネは強い鼻息を吐き、腕を組む。


「まずは、スキルの真実から話すとするかの」

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