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まさかの急な展開

 次に目を覚ました時、俺はエルフの集団に捕まっていた。


「え?」


 意味が分からない。

 両手首を縛られ、柱に固定されている。残念ながら身動きは取れない。


「気が付いたようナリか、人間」


 目の前にいたエルフの女がゴミを見るような目を向けてくる。


「間抜けなものナリ。エルフの森で居眠りをするなんて」


 まったく状況が理解できない。どうしてこうなった。

 俺はみんなと一緒に馬車に揺られていたはずだ。なぜこんなことになってる?


 そうだ、みんなは。

 俺はあたりを見回す。しかし、他のメンバーの姿はない。


 ここはエルフの村、集落か?


 見えるのはエルフの女ばかり。緑を基調とした衣装を着た金髪碧眼の女ばかりだ。

 特に気になったのは、エルフ達の衣装が度を超えて扇情的なことだ。露出度が高すぎる。転生前に見たマイクロビキニとかいうトチ狂った格好に匹敵する。上下の大事なところが辛うじて隠れているかいないか微妙なレベルだ。


 混乱する以外に選択肢がない。

 俺の中のエルフってこんなイメージじゃないんだ。


「ふん。頭の悪そうな顔ナリ。人間の男というのは、どいつもこいつもクソみたいな輩ばかりナリ」


 ふざけんなよ。なんでエルフのくせに語尾にナリをつけてんだよ。おかしいだろ普通に考えて。


「副長。この人間、処理しますか?」


 また別のエルフがそんなことを言う。


 待て。処理だと?


「焦りは禁物ナリ」


 副長と呼ばれたエルフが歩み寄ってきて、いきなり俺の胸倉をつかみ上げた。

 身長は俺と変わらないくらいだが、凄まじい筋力だ。魔法で強化しているのだろうか。俺は思わず息が詰まる。


「さて人間。聞きたいことがいくつかあるナリ」


 くそ。ふざけた口調のくせに美人だ。なんか腹が立つ。


「なぜ我々の森で居眠りなどしていたナリか? 何が目的ナリ?」


「……こっちが聞きてぇよ」


 俺はたしかに馬車に乗っていたはずだ。みんなが俺を森に捨てていったのか? そんな馬鹿な。それはない。俺はみんなを信じている。

 となると、何かトラブルがあったに違いないが。


「口を割るつもりはないということナリか?」


 ふと、俺の首筋に短剣が突きつけられた。


「正直に吐かないと、死ぬことになるナリよ?」


 まじかよ。

 これは、まじでやばい。


「ホントに知らねぇんだって。俺が寝ていたのは馬車の中だ。それで気がついたらここにいた。俺からすれば、お前らが俺を攫ったとしか思えねぇぞ」


「ハッ。ありえんナリ。どうして我々が汚らわしい人間の男なんかを攫わなければならないナリ?」


「んなもん知るかよ。あとさ、人のことを汚らわしいとか言うなよ。種族差別だぞ」


「寝言は寝て言えナリ。人間がいちばん差別をしているくせに」


 ごもっとも。それに関しては何も言い返せないな。


「仮に俺を攫ってないにしても、俺を殺すのはおかしいだろ。俺はただ森に迷い込んだだけだ」


「人間の男が立ち入ったのは断じて許せないナリ。口を割らないならもう用済みナリ。殺すしかないナリ」


「待て待て! 話を聞けって」


 くそ。相手は本気だ。

 とりあえずなんとか時間を稼がないと、冗談抜きで殺されちまう。

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