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さらばリッバンループ

「ところでご主人様。ご主人様のスキルと職業ってなんなんですか?」


「え?」


 なんでそんなことを聞くんだ。俺はあからさまに嫌な顔をした。


「あ、すみません……出すぎた真似をしました……」


 驚くほどしゅんとなるサラ。いや、そこまで怒ってはないけど。


「あんまり人に言うようなもんでもないんだよなぁ」


「そうなんですか?」


「うん。まぁでも、サラには教えとくか。隠しても仕方のないことだしな」


 どうせ知ることになるんだ。教えるのは早い方がいいし、協力もしやすいだろう。

 それに自分の欠点を晒すということは、信頼を築く第一歩でもある。


 俺とサラは、人ごみの街を歩く。


「俺のスキルはな。まぁ、たくさんあるんだけど、あんまりいいスキルはないんだ」


「ええっ! ご主人様、複数持ちなんですか?」


 サラが驚きの声を上げたので、俺はすぐさま彼女の口を塞いだ。


「声が大きい。目立つだろ」


「ふいはへん……」


 ただでさえ複数持ちは希少なんだ。街中ではバレないようにしないと。

 噂を嗅ぎ付けて冒険者ギルドの連中がスカウトしに来るかもしれないしな。そんなことになるのは御免こうむる。


 俺はサラの口から手を離す。


「まぁ、数えきれないくらいたくさんあるんだけど、基本的にどれもクソだ。だから、俺の職業は最弱劣等職の『無職』なんだよ」


「そんなことって」


 俺の話を聞いたサラは、途端に悲しそうな顔になった。


「ご主人様は、クソスキルだけは腐るほど持ってる能無しってことなんですか……?」


「そうだけどもうちょっと言い方あるだろ」


 まったく。この世界はとことん『無職』に厳しいな。


「でも、最弱劣等職の『無職』って、聞いたことはありますけど、本当にいるとは思わなかったです。ある意味珍しいですよね」


「そうだな。目立つからヤなんだけど」


「いいじゃないですか。たとえご主人様がクソスキル満載の無能だったとしても、ボクは誓って忠誠を尽くします。だって、みすぼらしい奴隷のボクにこんなに良くしてくれてるんですから。『無職』のくせに心はとっても綺麗な方ですよ」


 だからもっと言い方あるだろうがこのクソガキが。

 とはいえ、こんなことで怒るのもバカバカしい。この世界はそういうもの。主人に対する忠義と、クソスキルに対する侮蔑は矛盾しないのだ。


 ややこしい価値観だなぁ。


 そんなこんなでサラの身支度を整えた俺は、魔法学園への道を行くのだった。

 節約の為、駅馬車は使わない。

 半月かけて、歩いていくしかないんだ。


 トホホ。

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