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第44話:教師とアイツの【知らない】一面。


「今日は本当に楽しかったですの」


 ひとしきり遊んだあと、うさこが私達にぺこりとお辞儀をした。


 こういう礼儀正しいところがうさこのいいところだと思う。

 私に対してはたまにおかしな事になっちゃうけど。


 こいつの、私に対しての好意っていうのは本当にありがたいし嬉しい事なんだけど……どうしたものかなぁ。


 奈那はある程度オッケーとか言い出すし、ルキヤはサムズアップしてくるだけだしもう頭ぐちゃぐちゃ。


 みんなで楽しく遊べたら私はそれでいいんだけど……ついでにそのうちルキヤが自業自得感満載で破滅してくれたら尚更いいんだけれども。


 いや、そんな流れに任せて自滅された所で本当に私は満足できるのだろうか?


 やっぱりこいつを社会的に抹殺するのは私じゃないと気が済まないような気もする。



「おーいお前ら」


 いろいろ考えがまとまらずもやもやしていると、ここの経営者らしき金髪縦ロールと一緒に咲耶ちゃんがやってきた。


「皆様本日は楽しんで頂けたかしら?」


 声かけられちゃった! お嬢様だ! 本物のお嬢様だ! 到底咲耶ちゃんと知り合いである筈が無さそうな高貴な人だ!


「は、はい! 本日はその、お日柄もよく……」


「ちょっと絵菜ちゃん何言ってるの?」


 奈那に笑われた。


「今日はお招き頂きありがとうございました♪ 勿論とても楽しめましたし、貴重な体験をさせて頂き嬉しく思います♪」


 奈那が! 奈那がまともな事言ってる!!


「咲耶ちゃんが担任やってるなんて言うからどんな破天荒な生徒たちかと思ったら……とても礼儀正しくて素敵な人達ですわね」


「うるせーよお前らの代以上の問題児が居てたまるか」


「少し納得出来てしまうのが悔しいですわ……」


 咲耶ちゃんと金髪縦ロールの人はそう言ってにこやかに笑った。


 私もこんな素敵なお嬢様に生まれて来たかった。


「咲耶ちゃんはその人の先生だったの?」


 自然と疑問が口をついていた。失礼だっただろうか。


「ん……? ああ、ほんの数年前だけどな。あたしが他の学校に居た時の生徒だよ。こいつらときたらもう胃が痛くなるくらいの問題児でな……」


「咲耶ちゃん、その言い方はあんまりですわ。どちらかというと問題教師だったのは咲耶ちゃんの方ですわ」


「咲耶ちゃんゆーなっての」


 とても仲がよさそう。普通の保険医と生徒がここまで仲良くなれるものなんだろうか?


「まぁいいや。あたしはまだこいつと話があるからお前らに子兎任せてもいいか?」


「えっと、それは構わないけど……」


「そうか、そりゃ助かる。どうやら他の知り合いがこっちに来るみたいでさ、あたしもちょっくら顔出したかったから」


 先生の知り合い……この金髪縦ロールさんと同期の人達って事かな?


「分かりました。じゃあ私達と一緒に帰りましょ?」


 奈那がうさこに声をかけ、うさこも「なんだかすいませんけれど宜しくお願いしますの」と再び頭を下げた。


「じゃあよろしく頼んだぞ」


「それでは皆様、お帰りの際は気を抜かぬよう気を付けてお帰り下さいまし」


 金髪縦ロールの人はお行儀よく私達に頭を下げ、咲耶ちゃんを連れてホテルの中へ消えていった。


 去り際に「あいつなんで急に来る事になったんだ?」「咲耶ちゃんが来るなら会いに行くって言ってましたわ」「クソガキが言うようになったじゃねぇか」「顔赤いですわよ」「うるせぇ!」みたいなやり取りをしてた。


 なんだか私の知らない咲耶ちゃんの一面を垣間見た気がする。


「さて、私らも帰るとするか」


「そう言えばあこさんはどうしたんですの?」


「あ、あぁ……それはな……」


 実は帰りの事を全く考えて無かったため、今のうちにトイレで着替えさせている。


 来る時は水着を着こんでればよかったけど帰りはそうもいかない。

 それをついさっきルキヤの方から言われて、私もそれを忘れていた事に気付いた。


 どうせなら嫌がらせでもしてやりたくなって今のうちに女子更衣室で着替えてこいと言ったんだけど、本人がさすがにまずいと騒ぐので仕方なくこっそりトイレで着替える事にした。


「あれ、さっき咲耶ちゃんホテルの中に行っちゃったけど……」


 噂をすればなんとやら。


「あこちゃんもう着替えちゃったの? じゃあ私達も着替えて帰ろっか♪」


 奈那が先導して女子更衣室へ。

 とりあえずルキヤはロビーで待たせる事にして、私達だけで着替えに行く。


 着替えの件は無事に済んで良かった。


 ……べつに無事じゃなくても構わなかったけれども。


 あいつの慌てた姿が見れただけでも良しとするか。


 着替えを終えロビーに戻ると、ルキヤが知らない人達と話をしていた。


 ごく普通の服装をしたごく普通の男の人と、雪みたいに透き通った白い肌をした女の人、そしてどこかで見た事がある背の小さな女の子。あとさらに背の小さな女の子。


 私達がルキヤに声をかけようとした頃、丁度話が終わったらしくその人達は受付の方へ歩いていった。


「あ……みんな遅いよ! さっき凄い人がいたんだよ!?」


 なんか勝手にルキヤが大興奮している。


 聞くところによるとあの背の小さい子が有名なアイドルで、他の人達はその身内一行だったらしい。


 ルキヤはそのアイドルのファンだったらしく、こちらから声をかけて握手してもらったんだとか。


 こいつ女に興味ない振りしてアイドルが好きだったのか……?

 結局可愛い女の子が好きなんじゃねぇかよクソが。


今回登場している名前が出てないキャラ達は本編には一切関係ありませんのでお気になさらず。

別作品からの出張出演でございます。


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