九話 試験と対戦
次でようやく俺の番が回ってくる受験生が多いと大変だな……
「お名前と学校、または学園の名前をお願いします」
「陸導珀人、火属性の学園から来ました」
「使用する属性は……え、全属性?火属性じゃなくて?」
だって折角なら全属性の更なる高みを目指したいし……
「はい」
「そんな人いるんですね……初日は皆同じテストを受けるので大丈夫ですけど……明日は大変ですね」
「正直、今までの人生に比べたら楽ですよ」
「え?そ、そうですか……これが教室になりますので」
「ありがとうございます」
今から試験が始まるが俺は少しも緊張などしていなかった、何故なら一般教養などもう六回も習った、既に教科書の隅々まで暗記済みだ。
テストは予想道り余裕だった、落胆しているやつが多いが俺はさっさと帰らせて貰う。
と教室を出ると……
「きゃ‼」
「す、すまない」
急に前に出てこられてぶつかってしまった、ここは男として手を貸すべきだよな……
そう思い転んだ相手に手を伸ばす……ん?この緑がかった髪の毛どこがで……
「大丈夫か?」
「私こそすまない、ぼーとしていた」
え……この喋り方……転んで下を向いていて顔は見えないけど……
「いやこちらこそ周りを確認するべきだった」
「ん?君は……何処かで会ったかな?なんかだか会うのが初めてじゃない気がするんだが」
涼乃……久しぶりだな……
「良くそういう風に言われるんだよね、ありきたりな顔なのかな?」
「いや、君は充分に整った顔をしていると思うぞ」
前にも同じ事を言われたよ……
「そう言ってくれると嬉しいよ」
「それは良かった、これも何かの縁だ、もし二人とも合格していたのならば仲良くしてくれ」
「こちらこそ」
「ではまた」
「ああ」
ん?涼乃は推薦の筈だよな?なんでここに?
まあ、そういうこともあるよな。
特に気に止めることもなく家に帰った。
「試験どうだった?」
「余裕だよ」
「本当に?」
教科書の隅々まで暗記してんだよ‼こっちは間違い探しだわ‼
「だから言っただろう、大丈夫だって、珀人の一般教養の成績はいつも満点に近いんだし」
「だって」
だから……もういいか。
「明日は二人とも試験があるんだから早く寝ろよ」
子供か‼
でも余裕過ぎて、変な体勢で寝たから、精神的にはだいぶ疲れている……
次の日
「忘れ物ない?」
「今日は実技なんだから何も要らないだろ?」
「そうだった」
「お前……緊張してんのか?」
「魔法失敗したらやだし……」
お前入学決まってんだから堂々としてればいいだろ……
受験会場は属性毎に別れている、おそらく俺は全てを受けることなるんだが……間に合うのか?
取り敢えず火属性から行くか……
「君が陸導珀人君ですか?」
「え、はいそうですが……っ!?」
こいつは……あのときニュースに出ていた男だ……学院の教師だったのか?
「どうかしたかい?」
「いえ……それで何か用ですか?」
「君の受験内容は特殊なので別の試験を用意しました、全部を受けきるのは時間が足りませんしね」
それもそうだ……その方がありがたい。
「珀人?火属性はこっちだよ」
「俺は受験方法が別なんだ、先に行ってくれ」
「そうなの?分かった」
何の疑いもしないんだな……それがいいところではある。
「ではこちらに」
「はい」
俺は男についていった……
途中気になったことを思いだし、聞いてみることにした。
「今年の推薦者について質問とかってできますか?」
「その質問によりますね、プライベートな部分もあるので」
「そうですか……でも一応、昨日、風天の娘の涼乃さんが学院に来ていたのですが?彼女は推薦者ではないのですか?」
「ああ、その事ですか?それならお答えできます」
何か物凄く意味ありげなんだが……
「彼女は推薦者でありながら昨日いた理由は……日にちを間違えたそうですよ」
そんな事だろうと思ってたけどね、涼乃はああ見えて何処か抜けてるところがあるからな。
「そうなんですか」
「涼乃さんとはお知り合いで?」
「色々ありまして」
「そうですか……着きましたよ」
「え……ここって」
そこはラルガシム魔導学院最大の決闘場……縦浜スタジアムくらいあるかもしれない。
「他のは空いていなくて、ここしかなかったんですよ」
「それはいいですけど、ここで何を?」
「簡単ですよ……各属性の教員と戦ってもらいます」
「は?」
そんなの聞いてませんけど……