十四話 謝罪と後悔
「学年代表さんはさっきから何を配ってるんですか?」
「ん?これは代表の……」
声をかけられたのは地属性代表の女の子、後ろには男のほうもいた。
「君たちに渡そうと思っていたんだ、代表バッチなんだけど」
「なるほど、ありがとうございます」
「いや、仕事だから」
「自分、土御門砂絵っていいます、学年代表に選ばれるってことは貴方はめちゃくちゃ強いってことですよね‼」
「いやそんな事は……」
凄い勢いがある子だな……
「出来れば今度一戦、わたっ‼痛い」
「学年代表、悪いね、こんなやつなんだけど今後も仲良くしてやってくれ、ちなみに俺は壁山大地ってんだ宜しくな」
なんか後ろから叩かれてたように見えるけど……
「ああ、こちらこそ」
「ちょっと‼だいちゃん‼なにするの今話してるところ、あ、ちょっと」
「学年代表は忙しいんだよ、じゃましちゃ悪いだろ?」
身長の小さめな彼女は大きめの彼に抱えられ教室を出ていってしまった。
なんか叫び声が聞こえるけど……彼らの関係が同じで安心した。
でも……このままだと学年代表で統一されそうで怖いな……
「ちょっと、そこ退いて下さる?」
「あ、悪い……君は……」
エレナ・ホワイト、六式唯一の代表……超金持ちで好き放題って聞いたことあるけど……実力者か……
「これ、代表のバッチなんだけど……」
「そう、それはそこの彼に渡しおいて下さる?」
「え、あ、ちょっと」
そう言って彼女は教室を後にした。
そこの彼ってだれだよ……
「それ僕の事だから、預かっておくよ」
「あ、君が……頼むよ」
輝道光、見た目は完全に金髪外国人だけど名前は日本人……ホワイトの家系と色々あったって明日香さんに聞いたっけ 。
「じゃあ僕は急がないとだから」
「ああ」
エレナさんの三歩後ろから付いていくのもなんか関係がありそうだけど……前も深くは考えなかった。
でもこれで後二人……だけど……そのうちの一人は……
と考えていると……
「あ、君、闇属性代表の人だよね?これバッチなんだけど」
ちょうど教室を出ようとしていたところだった。
「あ……ありが…………ます……では」
「あ……ああ」
影村漆、暗くてあまり人と関わりを持とうとしないやつだ……だか才能はあるし、実力も相当なものだ。
俺も仲良くしようと思ったんだけど……
「やっと二人きりになれたな‼」
「はぁ……」
気付けば教室には今、話かけてきた奴以外居なくなっていた……
そして、少なくとも今のこいつとは関わりたくないものだ。
「今か今かと時を待ちわびたぞ、我が運命よ‼」
今、話しかけてきたのは常闇咲夜、黒髪ツインテール……たしかその言葉は俺が紫影学園の転入試験の後にお前が言った言葉のはずなんだけど……
「俺達は今日初めて会ったはずだけど?」
「え……な、何を言う、我は入学式で、そなたの名前が呼ばれる時に感じたのだ……前世の夫の力を……」
もう気づいていると思うけどこいつは常闇咲夜、中厨病なんだ……
「前世とそういうの信じてないから」
「え……ほ、本当に言ってるの?」
あれ?通常の口調に戻った?
「本当ってどう言うことだよ?」
「じゃあ……私の中のこの記憶は前世の物じゃなかったのか……」
記憶って……まさか……
「俺達は前にも会っていたりするのか?」
「そう‼我らは前世で……」
もしかしたら……
「咲夜?いい加減にしろよ?」
「あ、ご、ごめんなさい、普通に喋るから、喋るからほっぺたつねらないでぇ……え?」
「お前……記憶があるのか?」
「もちろん‼我……じゃなくて、私、貴方と過ごした記憶がある」
いったいどういうことなんだ?咲夜ははっきりしてるみたいだし、他の皆も俺の事を知らない他人と喋っている感じじゃなかった……
「どうして記憶が……」
「その前に……私の継承した魔法の名前言って……」
「何で急に?」
確か常闇家の魔法は時間を少しだけ操る能力……咲夜が継承したのは……
「良いから」
「時間停止」
この魔法は自分の時間を五秒止めることができる、たかが五秒かよって思うかもしれないが通信詠唱だったり、魔力を貯める時間が五秒かかるとしたらこれをノータイムで支えるようになる、連続で使用するのは難しい
「……良かった……やっぱり珀人だ‼」
「おわっと」
その答えを聞くと咲夜は俺に抱きついてきた。
「良かった……私だけじゃなかった……」
「どういうことだ?」
「私、気がついたら四年前に戻されてて、珀人が来る筈なのに来なくて……それで……それで……」
四年前……俺が毎回戻した時間と同じだな……
「分かったから、泣きそうになるなって落ち着いて話せ、聞いてやるから」
「うん……」
咲夜の話によると俺がタイムリープを行った日に咲夜は時間に干渉する魔法を感知し、自分も時間停止の魔法を使ったらしい、そして気がついたら四年前だったと……
おそらく時間に干渉するってのは俺の使った力だろう。
ということは咲夜は誰も何も知らない、そして何故か俺の居ない時間を生きてきたということか……