十一話 入学と選別
俺は無事全ての試験合格した……そして。
「「「「「「入学おめでとう」」」」」」
おそらく誰よりも早い入学の決定した瞬間だった。
「え……早くないですか?」
「ぶっちゃけた話をさせて貰うとさ、君、一般教養のテスト満点だったし、全属性魔法使えるだけでも合格だったんだよね」
この人は風属性の教師の嵐先生だ、この人はだいぶ強い人だ……瞬時に先生方を避難させていたんだから……
「そうだったんですか」
「だから入学式までゆっくりしていればいいよ」
「そうさせていただきます」
先生方も解散するみたいなので俺も疲れていたしそのまま帰ろうとしたのだか……
「陸堂君、ちょっといいかしら?」
「何ですが?」
氷堂先生……さっきはちょっと可愛い顔を見てしまったので若干気まずい……
落ち着け俺‼相手は教師だぞ‼確かに見た目は綺麗だし、まだ二十代くらいだとは思うけど……
「さっきのは……玄水さんに習ったものなの?」
「色々あって事情は話せませんが、本人に教わったのは確かです」
「そう……」
「水属性の中でも氷派と水派って別れてませんでしたっけ?なのに玄水さんと知り合い何ですか?」
「私は昔その人に助けられたことがあって……自分に水属性の適性があったから蒼鳴学園に入ったんだけど、私は氷派の家系だったらしく、水の方はあまり……」
「そうだったんですか……」
確かに憧れの人と同じ魔法を使いたい気持ちは俺にも分かる……気がつけば親父がそうだった……
「その……助けられたお礼なんだけど……」
「え、いやお礼なんて、俺のせいですし」
「それでは私の気が収まらないわ‼」
やはり真面目なんだな……
「では……機会があれば個人授業でもしてくれたりします?」
「そ、そんな事で良ければ何時でもいいけど……貴方に必要なの?」
「正直、今は本で手に入る知識しか持っていないので経験から得られるものを教えて欲しいなと」
「任せなさい‼私はまだ教師には成り立てだけど、色々研究とかもしてきたし、教科書では分からないことも教えられると思うわ‼」
「ではそれで宜しくお願いします」
「分かったわ、引き留めて悪かったわ、今日は家で良く休みなさい」
「はい」
朝日は大丈夫だったかな……落ちることはないにしろ、緊張していたからな……
その日はそのまま家に帰った、後から帰って来た朝日に皆に驚かれちゃったんだけど、失敗したのかな?とか聞かれたけど……それはお前の魔法が凄かったからだと思うぞ……
後日ちゃんと合格通知が来た、なんか色々資料が入っていたけど、合格ならそれでいいので確認はしなかった。
朝日は火属性の代表に選ばれたらどうしようかとあたふたしていたがやめてほしい……
入学が決まったら必要な荷物を学院に送らなければならない、全寮制だからな。
代表は推薦と同じく各属性毎に男女が選ばれる……推薦者で決まりと訳ではなく、お金がなくて基礎の学校に通ってた埋もれた才能達も集まるんだ、誰が代表になるかは入学式で呼ばれるまでは分からない。
そして入学式当日、親父が駄々をこねていたが振り払ってきた。
入学式は体育館で行われた。
凄い人数の生徒がいる……全属性集まるのだから当たり前か……
「それではまず、生徒会長、明光院明日香さんお願いします」
明光院明日香……この人も俺が繰り返した時間の中でも親しくなってしまった一人だ……光天の娘で学年は違ったのに良くしてくれた。
「新入生の皆さん、入学おめでとうございます、それではまず各属性の代表生徒から発表していきたいと思います」
いきなりか……まあ結果は分かっているからな……
「男女で呼んでいくので呼ばれた人から、前まで来て下さいね、火属性の代表生徒、炎城寺真人君、不知火朝日さん」
おそらく元紅華学園の生徒だろう……歓声が上がった。
朝日が代表なのは分かっていたけどな。
「……さん以上十二名が今年の各属性の代表になりますので皆さん協力していきましょう」
歓声が上がる……代表の中には各属性の天の子供も多かった、それと同様に元知り合いも……
「代表の皆さんは席に戻っていいですよ、本来ならここで終わりなのですが……」
ん?まだ何かあるのか?
「今年度から全ての属性の代表として、学年代表というものが新しく選ばれるようになりましたので最後にお呼びしたいと思います」
ということは今前に呼ばれた生徒よりも優秀な生徒がいるってことか?
「新入生の学年代表は……」
「……」
生徒会長は読むのを止めてしまった……何故だろう?
「明光院さん?」
見かねた教師が声をかけると……
「し、失礼しました、新入生代表は陸導珀人君です」
体育館は静まり返った……誰だ?とか何処の属性だよ?とかまあ一番耳に入ってきたのはなんであいつが?だけど
俺としては何で俺が?って感じですけど……