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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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61.「私も気をつけてますから」

 テーブルの上には豪華な食事、じゃなくて鍋が2つ並んでいる。

 何か見たような雰囲気だと思ったらテレビのドラマなんかでよく出てくる居酒屋か!

 長テーブルに一定間隔で鍋が置いてあって、その周りに大皿や小皿の料理が並ぶという。

 鍋には既にお湯がはられていて湯気が上がっている。

 大皿には野菜や肉が。

「ええと、すき焼き?」

「ちゃんこ鍋みたいです」

 既に座っている静村さんが教えてくれた。

 隣の(エン)さんなんかもう臨戦態勢だ。

 そう来たか。

 確かに大人数で食べるとしたら鍋だよね。

 でもちゃんこ鍋って和食なのでは。

 まあいいか。

 僕は視線で招いてくる比和さんの右隣に腰掛けた。

 他の場所だと泣かれそうな気がしたもので。

 ていうかそこしか空いてなかったし。

 僕の左隣は信楽さんで、食卓にも関わらずタブレットを弄っている。

 忙しそうだね。

 すると矢代ホームサービスとやらの加納さんがキッチンから出てきて一礼した。

「お食事を始めさせて頂いてよろしいでょうか」

 誰に聞いたのか判らなかったから比和さんを見たら頷かれた。

 つまり僕ね。

「お願いします」

「かしこまりました」

 続いて運ばれてくるご飯とか味噌汁とか。

 ここら辺は夕食だね。

 お茶やお水も配られた所で比和さんが言った。

「ありがとう。

 もう結構です。

 片付けもこちらで」

「それでは我々は引き上げさせて頂きます」

 加納さんが一礼して引き下がった。

 矢代ホームサービスのツナギを着た人たちが従う。

 ドアの所で揃って頭を下げてから去るメイドさん? たち。

 良かった。

 あの格好で給仕でもされたらどうしようかと思った。

「少し手際が良くなかったですが、まあまあですね」

 比和さんが冷静に批評する。

「かろうじて及第点でしょう」

 これも課題なのかよ!

 何か肩が凝るなあ(泣)。

「それではダイチ様。

 号令を」

 そんなこと言われても。

 でも(エン)さんなんか「待て」と命令された犬みたいな目をこっちに向けてるし。

 しょうがない。

「食事を始めます。

 頂きます」

「「「頂きます」」」

 信楽さんもタブレットを仕舞って唱和してくれた。

 (エン)さんが張り切って具材を鍋に投入する。

 僕はふと思いついて聞いてみた。

「さっきのメイドさんの中に胡堂くんが混じっていたんだけど」

「胡堂さんは研修生です」

 比和さんが手早く具材を鍋の中でほぐしながら答えた。

「山城さんから是非体験学習させたいと申し入れがありまして。

 臨時に預かっています」

「そうなんだ」

「加納たちにとってもあのような方を伴っての課題演習は勉強になりますから。

 今後、事業が拡大していけばどうしても玉石混合の配下を使いこなさなければならなくなりますからね」

 胡堂くんは戦力というよりは重しだったわけね。

 本人が知ったら怒るだろうなあ。

 黙っておこう。

 比和さんが鍋の様子を見ている間、信楽さんが静かだった。

 タブレットは仕舞ったけどスマホを見ていたりして。

 それ、矢代興業で配った幹部用のスマホだよね。

 てことは仕事か。

「忙しいのは判るけど、食事の時くらい仕事から離れたら?」

 つい言ってしまった。

 僕なんかが口出すことじゃないんだけどね。

 でも信楽さんに頼りすぎなのは確かなんだよ。

 僕もそうだけど矢代興業のみんなも。

「そうですねぇ。

 ついぃ。

 止めますぅ」

 信楽さんは気分を悪くした様子もなくスマホを仕舞ってくれた。

 良かった。

「きつい言い方だったらご免」

「そんなことないですぅ。

 私ぃはついやりすぎるのでぇ、止めて貰えるのはありがたいですぅ」

 社交辞令でもほっとする。

「そうですよ。

 信楽殿は私から見ても働き過ぎです。

 もっと休んで欲しいです」

 比和さんも感じていたらしい。

 もっとも僕に言わせたら比和さんも大概だけど。

「比和さんもしっかり休んでね。

 定休日くらい作った方がいいかも」

「ありがとうございます!

 大丈夫です」

 比和さんは真面目な顔で言ってから付け加えた。

「ダイチ様のお側に控えさせて頂ける限り、私は無敵です」

 さいですか。

 いきなり萌えハーレムアニメ化しそう。

「そうですぅ。

 比和先輩はぁ、もっと矢代社長についているべきですぅ」

 信楽さんがとんでもないことを言い出した。

 いや無理でしょう。

 仕事があるんだし。

「……頑張ります!」

 ほら、比和さんに火がついてしまった。

 知らないよ?

「大丈夫ですよ。

 信楽さん」

 思いも寄らない所から援軍が来た。

 静村さん。

 鍋をかき回しながら参入してくるの?

「ハルミの思いは既に結晶化しています。

 離れていてもびくともしませんから」

 こっちは厨二病台詞だーっ!

 何で飯食うだけなのにラノベ世界に引き釣り込まれなきゃならないんだろう。

「私も気をつけてますから」

「ありがとうシズシズ。

 安心しました」

 言葉とは裏腹にちょっと残念そうな比和さん。

 まあ、僕も残念ではあるけど。

 でも比和さんには責任があるからね。

 何百人も率いて事業運営しているし。

 僕が邪魔しちゃいけない。

 でも結晶って何のことなんだろう。

 静村さんが前にもそんなことを言っていたっけ。

 ラノベ的に言えば霊的な防御とかそういうものなんだろうけど、そんな厨二病設定は御免被りたい。

 でも確かに厨二病的な状況ではあるなあ。

 普通の人には見えないものを見るのが厨二病だからね。

 結晶や結界って一番厨二病に馴染みやすい概念かも。

(俺にはどうみても矢代大地(ガキ)が主人公のラノベとやらにしか見えないんだが)

 無聊椰東湖(オッサン)の呆れた声が聞こえた。

(ラブコメとは言えないがな。

 暴力やツンデレが出ないし)

 無聊椰東湖(オッサン)、どっからそんな知識を?

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