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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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4.「秘書って役員でも出来るの?」

「そろそろ行きますぅ」

 掲示板? の前の人混みがやや薄れてきた所で信楽さんが言うので立ち上がる。

 なぜかずっと僕の近くにいた比和さんが微笑みながら同行してくれようとしたけど声がかかった。

「比和教授!

 お願いします!」

 比和さんって教授なの?

 そうだった。

 矢代興業の清掃事業部長なんだよ。

 役員も兼任している。

 となればもう、格から言って教授にするしかないでしょう。

 実際問題として比和さんの部下のメイドさんたちが何人も講師や助教に任命されていると聞いている。

 つまりそれだけ大量の学生が比和さんの下につく予定なんだよ。

 今ですら大変なのにこれからはメチャクチャ忙しくなりそう。

「ダイチ様。

 申し訳ありません」

「僕こそご免。

 忙しいだろうけど頑張って」

 比和さんはきちんと礼をとってから学生たち? の方に向かった。

 ふと気づくと清水さんが切なそうな視線を比和さんに向けている。

 もはや信者だね。

「そういえばあの三人(NPC)は学生じゃなくて事務員なの?」

 聞いてみたら何でも知っている信楽さんが教えてくれた。

「学生職員ですぅ。

 宝神総合大学もぉ組織体ですのでぇ、そこで実習しつつ経験を積むという形になってますぅ」

 なるほど。

 宝神総合大学は専門職大学なので学生と言えども通学して講義だけを受けていればいいというわけにはいかない。

 いや僕もあまり詳しくないんだけど実習というか実践が重視されると聞いている。

 要するに仕事だ。

 服部さんたちは宝神総合大学の学生のまま宝神(うち)の事務局でインターンとして働く事になるわけか。

 何かよく判らないけど僕に関係なさそうだから気にしない(笑)。

 舞台を降りて掲示板に向かって行くと学生さんたちが左右に分かれてくれた。

 信楽さんだよね(泣)。

 もう独裁者とかを通り越して魔王か何かになってない?

「凄い権威だね」

 思わず言ってしまったけど信楽さんはのほほんと応えた。

「そんなことはないですぅ。

 私ぃはただの秘書ですぅ」

 それはどうかな。

 信楽さんは今年の3月付けで如月高校を退学した。

 高校中退の身分で矢代興業に正式に入社。

 それまでは驚いた事にアルバイトだったらしい。

 社長や専務より権力があるバイトって(笑)。

 僕は外国から帰った後、精神的および肉体的な過労で自宅で伸びていたから出られなかったんだけど、後から聞いた話では黒岩くんを初めとした矢代興業の幹部が勢揃いで信楽さんの正式入社を祝ったという。

 全員でお出迎えして黒岩くんが直々に辞令を手渡したそうだ。

「信楽さんも今は矢代興業の役員でしょ。

 宝神(うち)の理事でもあるし」

「不覚を取りましたぁ。

 忌々しいことですぅ。

 不意打ちでぇ防げませんでしたぁ」

 信楽さんも僕たちに同行して海外に行っていたから自分の人事配属に影響を及ぼせなかったとか。

 だけど信楽さんが一般社員というのはもう無理だったと思うよ。

 外国でもあれだけ派手に立ち回って名前を売りまくっていたもんなあ。

 正直、海外で矢代興業と言えば僕より信楽さんの方が有名だったりして。

 まあその辺は後で。

 でも信楽さんは何とか黒岩くんたちと直談判していきなり最高経営責任者(CEO)とかにされるのは逃れたらしい。

 しかも経営陣に加わる代わりにごり押しで社長秘書を続ける事まで約束させたとか。

「秘書って役員でも出来るの?」

「取締役秘書室長という肩書きですぅ。

 黒岩専務はともかくぅ八里常務が手強かったですぅ」

 八里くんって前世は帝国軍の将軍副官だもんね。

 交渉(ネゴシエーション)なら無敵かもしれない。

「まあいいんじゃない?

 僕も信楽さんが秘書やってくれると嬉しいし」

 というよりやってくれなかったら詰む。

「でもぉ矢代興業のお仕事があるのでぇ、今までみたいにぴったりとはついていけないですぅ」

 信楽さんは不満そうだった。

 ていうか不満なのに決まった事はちゃんとやる気になっているのが凄い。

 でも今の言い方だと矢代興業の経営の方が片手間臭いな。

 いや考えるな。

 所詮僕みたいな雑魚(モブ)が立ち入っていい領域じゃない。

 気を取り直して掲示板を見てみる。

 ホワイトボードに大型のプリンタで印刷されたらしい紙が貼ってあった。

 講座名というか専攻の下に教授や講師などの教師陣、そして学生名が印刷されている。

 宝神は今年開校なので学生は全員が1年生だ。

 服部さんたちは前身の宝神国際大学に通っていたけど、そこを退学して入学し直した事になっているんだよ。

 普通の大学だと編入という制度があっていきなり3年生とかになれるらしいけど宝神(うち)は駄目だそうだ。

 カリキュラムが根本的に違うから。

 さて配属はどうかな。

「意外に比和さんの所が少ないね」

「清掃事業はぁ労働集約型産業ですのでぇ、逆にぃ幹部職員は多くないですぅ。

 現時点ではぁ二十名がいい所ですぅ」

 なるほど。

 矢代興業の正社員で宝神(うち)に入学出来るのはその程度しかいないと。

 でも比和さんは教授だよ?

 講師とか助教とかもいるみたいだし。

「これからぁ学生はぁどんどん増えるですぅ。

 そこを見越してぇまずはぁ基礎固めですぅ」

 そういうことね。

 つまり今のうちに比和さん以下講師陣も経験を積んでおこうということか。

 他にも色々講座があった。

 学生の数が一番多いのはやっぱり護衛兵らしかった。

 フィジカルワーキング専攻とかよく判らないんだけど。

「要するにぃ物理ですぅ」

「あ、そう」

 体育会系とか警備とかそういうのを一緒くたにしたらしい。

 確かにいちいち剣道専攻とかそういうのを作ってもしょうがないからなあ。

 警備員とか露骨に言うわけにもいかないし。

「講座名は仮ですぅ。

 これからいくらでも変えられますぅ」

「そんなことしていいの?」

「大学のぉ自由ですぅ」

 凄い大学だね(笑)。

 つまり自分の所属する学科だか講座だかがいきなり変わったりするかもしれないわけか。

 普通の大学では考えられないけど専門職大学だからいいと。

 違うでしょう!

「それだけじゃないですぅ。

 宝神(うち)ではぁ途中でぇ専攻を変えるのもぉ自由ですしぃ、掛け持ちもOKですぅ」

「それで留年したりしないの?」

「そもそもぉ留年という制度がないですぅ。

 最低4年いてぇ必要単位を取得してぇ、担当講師とぉ教授会が認めればぁ卒業出来ますぅ」

 凄い。

 ていうかそれ、信楽さんが考えたの?

「私ぃだけじゃないですぅ。

 黒岩専務や谷副社長がぁ」

 でも基本計画は信楽さんなんだろうね。

 さすがは肉体的には16歳だけど精神的後期高齢者(ロリババア)

 中学2年を百回近くやったという経歴(前世)は伊達じゃない。

「そんなことはどうでもいいですぅ。

 これがぁ矢代教授の講座ですぅ」

 僕、やっぱ講座とか持たされるの?(泣)

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