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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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382.「お腹が空きました、です」

 キッチンにいる相沢さんに聞こえないように小声で必死で弁解してやっと判って貰えた。

「すると……まだご正室は決定というわけではないのですね!」

「いや正室とかまだとか、そんな話は欠片もないから。

 ていうか正室って何なの」

「それはもちろん嫡子をお産みになられる方で」

 駄目だ。

 比和さんの頭の中って戦国時代とかかもしれない。

「とにかくそういう話は禁止ね。

 色々差し障りがあるから」

「判りました。

 ダイチ様の命ずるままに」

 むしろ嬉々として僕の言葉に頷く比和さん。

 もう駄目かもしれない。

(駄目だろうな。

 覚悟は決まっているんだろう?)

 無聊椰東湖(オッサン)の揶揄が痛い。

 そりゃあ僕だって比和さんほどの女性(ひと)が付き合ってくれるのなら大歓迎どころか驚喜だよ。

 だけど高校生とかが言う「付き合う」というレベルの話じゃなくなってきている気がする。

 ていうかそもそも僕、まだ二十歳じゃないか!

 そんな話をするには早すぎる。

(いや。

 戦国武将は普通十五歳で元服して嫁をとっていたというぞ。

 むしろ遅いくらいだろう)

 無聊椰東湖(オッサン)が調子に乗って言ってくるけど無視。

「お待ちどうさまでした。

 どうぞ」

 相沢さんが呼ぶのでキッチンデーブルの所に行くと食事が用意されていた。

 パンにベーコンと目玉焼き、サラダ。

 そしてオレンジジュース。

 注文通りの米国風朝食アメリカンブレックファーストだ。

「ありがとう」

「ありがとうございます。

 相沢様」

 比和さんと向かい合って座り、早速頂く。

 ふと見ると相沢さんがニコニコしながら立ったままだった。

「相沢さんは食べないの?」

「実はもう頂いてしまいました。

 あんまりお腹が空いて」

 何と。

 聞いてみたら昨日は矢代家に帰ってから歓談の後シャワーを浴びてすぐに寝てしまったそうだ。

 そしてなぜか明け方に空腹で目が覚めたと。

「あれだけ食べたのに?」

 あの巨大なハンバーガーはカロリー満載だったはずだ。

 だって僕、あの島でハンバーガーを食べきってその後にビジネスジェットでポテトも食べたから満腹だったもんね。

 実を言えば今もあまりお腹が空いてないくらいで。

「自分でも不思議なんですが。

 とにかくお腹が空いてたまらず」

 まだ暗い内に起きてキッチンで自分の分の朝食を作って食べたと。

「運動したからかもしれません。

 ほら、泳いだのって小学校以来ですし」

「そうか」

 もちろん僕は納得していない。

 ただ思い当たる事はある。

 相沢さん(聖女様)って回復魔法(違)を使う時に凄いエネルギーを消費するんじゃないだろうか。

 日焼けを防いだり筋肉痛をなかったことにしたりするために相当のHPを消費したと。

 MPかもしれないけど(泣)。

 そのために相沢さんは一時的に飢えたりして。

(よくそんな妄想を思いつくな)

 無聊椰東湖(オッサン)に感心されてしまった。

 まあ戯れ言だけどね。

「判った。

 なら珈琲を一緒に飲まない?

 お代わりが欲しくなった」

 頼んでみたら比和さんも乗ってきた。

「私にも出来ればお願いします」

「はい!」

 元気よく返事をして珈琲を煎れに動く相沢さん(聖女様)

 あっという間にお代わりの珈琲が出てきた。

 何かゆっくり動いているように見えるのに手際良すぎない?

「さすがは相沢様でございます」

 比和さんが囁く。

比和(メイド)さんの目から見てもそう思う?」

「はい。

 今の相沢様の動作は熟練メイドと比較しても勝るとも劣らないものでございました。

 正式な訓練を受けておられないので随所に非効率な部分がございますが、相沢様は天性の勘でそれを補っておられます」

 メイドの長たる比和さんがそう言うんだから凄いんだろうな。

 ていうか正式なメイドの訓練ってあるのか。

「熟練メイドって相当高度な技術がいるんじゃない?

 相沢さんってそれに匹敵するの?」

 すると比和さんはナプキンで口元を拭ってから言った。

「技術、というよりは総括的な技能と言うべきものですね。

 ただスタイリッシュに動いたり効率を追求する事は練習を積むことで誰にでも出来るようになります。

 ですが本当のメイドはご主人様の気持ちや体調、環境などを総合的に判断して動きます。

 敢えて動きを遅くしたりタイミングを計ったりといった対処が出来て初めて熟練と言えるので」

 そうなんですが。

 メイド道の神髄か何かを聞いてしまった気がする。

 僕はキッチンで何かやっている相沢さんを横目で見た。

 何というか異質だ。

 場違いとも言う。

 だってラノベの聖女様(ヒロイン)にしか見えない人が冷蔵庫を開けたり包丁握ったりしてるんだよ!

 よく判らないけど何かを冒涜しているような。

 まあいいか。

 理解不能な事を考えても仕方がない。

 僕は僕に出来る事をすればいいんだよ。

矢代大地(ガキ)って最終的にはそこに行くよな)

 いいでしょ!

「私が」

 僕が食べ終わった途端に比和さんが動いた。

 手早くお皿をまとめてキッチンに運ぶ。

「あ!

 ありがとうございます」

「どう致しまして。

 お手伝いしましょうか?」

「お願いします!」

 キッチンで和気藹々と働く二人の美女。

 巨乳で清楚黒髪な比和さんとCG聖女様としか言い様がない相沢さんの絡みはちょっと背徳的だったりして。

 いやいや、そんなことを考えちゃ駄目だ。

 むしろ眼福なんだし。

 珈琲を啜りながらぼんやり考えているとドアが開いた。

「お早うございますぅ」

「お!

 皆さん揃ってますね?」

「いい匂いじゃな。

 相沢か?」

「お腹が空きました、です」

 矢代家の残りのメンバーが押し寄せて来た。

 やれやれ。

「お早うございます!

 朝食、出来てますよ」

 相沢さんが爽やかに呼びかける。

 リビングにはたちまち楽しげな空気が溢れた。

 癒やし系日常アニメ?

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