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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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375.『貴方の秘書の碧でした!』

 残してもいいのにと思ったけど相沢さんは飽くなき挑戦を続けていた。

 自分で作っておいて残すなんて考えられないらしい。

 僕が手伝えれば良かったけど満腹で駄目だ。

 結局、ハンバーガーがまだ半分くらい残っているうちに相沢さんの気力が尽きてしまった。

 さすがに無謀な挑戦だったか。

 聖女様なんだから超常的なパワーで何とかするんじゃないかと期待していたけど、そうは上手くいかないみたい。

「自分で作ったものも食べきれないなんて。

 屈辱です」

「仕方がないよ。

 そもそも相沢さんってむしろ小食の方でしょ?

 こんなの食べきれるわけがない」

「ですが」

 未練たらたらだな。

「じゃあ包んで持って帰れば。

 帰りの飛行機の中で食べればいい」

「そうですね!

 そうします」

 あっさり明るくなる相沢さん。

 何というか思考が単純というかスレてないんだろうな。

 でも単純な分だけ精神的に強靱だ。

 落ち込んでいても自力で這い上がれるとみた。

 そのくらいでなければ中学校から大学までの十年に及ぶ引きこもりに耐えられるはずがない。

 そこら辺が評価されて依代に選ばれたんだろうか。

 ていうか誰が選ぶんだろう。

 まあいいか。

 僕が珈琲を飲みながらぼやっとしているうちに相沢さんはキッチンを漁って適当な箱を見つけていた。

 ナプキンに包んだハンバーガーの残りを入れる。

 マジで持って帰る気だ。

 別にいいけど。

 しかしそれって聖女様的にはいいのか?

 上手く言えないけど何か違う気がする。

(食べ物を粗末にしないというのは聖女様らしいと言えるが)

 無聊椰東湖(オッサン)の言うことも判るけど。

 でも食いかけのハンバーガーをわざわざ包んで持って帰るって(笑)。

 多分、あのビジネスジェットでも頼めば軽食くらいは出てきそうなのに。

(いや。

 考えてみたら聖女様の手作りハンバーガーだぞ。

 物凄い値打ち物なんじゃないのか)

 それもそうか。

 異様に美味しかったもんね。

 間違いなく聖女補正が憑いている。

 まあこれは聖女様(相沢さん)だけじゃなくて静村さん辺りも一緒なんだけどね。

 そこら辺の材料で適当に作ったご飯が異常に美味しくなるという。

 迫水くんや渡辺さんが作ったご飯はまだ食べた事がないから判らないけど、多分似たような結果になりそう。

 渡辺さんなんか近くにいるだけで周りの人たちの能力が上がったり気分が落ち着いたりするそうだからね。

 まあいいや。

 時計を見たら午後7時を過ぎていた。

 念のためにスマホを出して聞いてみる。

「碧さん」

『いつも貴方(大地さん)のお側に。

 専任秘書の碧です!』

 一応、マンネリにならないようにバリエーションを揃えているみたい。

 無駄に高性能だよね。

「ええと。

 迎えに来てくれるんだよね?」

『来ます。

 繋ぎます』

 液晶画面に電話機のアイコンが出て点滅する。

 またいきなりかよ!

 人使いが荒いAIだ。

(いや。

 碧ちゃんは自分だけじゃ他の人間と直接話せないんじゃないか?

 AIじゃないんだ。

 自律的な行動は出来ないと思った方がいい)

 そうか。

 あんまり人間臭いからつい誤解してしまうけど碧さんってガイドシステムなんだよね。

 能動的には動かない。

 僕とは人間みたいに話しているけど、それは僕の情報が満載のデータベースを使ってシミュレーションしているからだ。

 他の人に対しては上手く話したりは無理なんだろうね。

 しかも「迎えはいつ来るのか」と言った抽象的な質問には答えようがない。

 だから電話を繋ぐと。

『……はい。

 矢代警備特殊警護部の山野井です』

 若い男の声が応えた。

 思い出した。

 元帝国だか王国だかの魔法兵か何かで僕たちの護衛をしてくれている人だ。

 運転手もしてくれたっけ。

「矢代です。

 ええと迎えの車っていつになりますか?」

 ストレートに聞いてみた。

『現在の所、午後7時半にそちらに到着予定です。

 それでよろしいでしょうか。

 変更は可能ですが』

 聞いて良かった。

 準備があるもんね。

 いきなり来られたら待たせる所だった。

「それでいいです。

 あ、それから今僕たちコテージに用意してあった服を着てるんですが。

 これは置いておけばいいんですか?」

 僕、まだ着替えてなかったんだよ。

 気温が高いから海パンにアロハでも普通に歩いていたけど埼玉に帰るんだったら着替えないと。

 ていうか僕が着ていた服って脱ぎ散らかしたままだった(汗)。

『服についての指示は受けておりませんが。

 お持ちになって結構だと思います。

 ご自由にどうぞ。

 後、コテージもそのままにして下さい。

 こちらで処理します』

 さいですか。

 しょうがない。

 僕はお礼を言ってスマホの電源を切った。

『貴方の秘書の碧でした!』

 電源を切ったはずのスマホから声がしたけど無視。

「相沢さん。

 もうすぐ迎えの車が来るから。

 準備、と言っても何もないか」

「いえ。

 さすがに着替えたいと思います」

 そうだよね。

「じゃあとりあえず解散ね。

 7時半にここに集合ということで。

 あ、キッチンとかは片付けなくても良いって」

「判りました」

 相沢さんが階段を昇っていくのを見送ってから僕は珈琲を飲み干して立ち上がった。

 キッチンを探すとちょうどいい箱があったから戦利品を入れる。

 実は僕、夕食の前の散歩で砂浜から貝殻を拾ってきてるんだよ。

 みんなにお土産をと思ったけど店もないし、もうこうなったら貝殻で誤魔化そうかと思って。

(逆にみんなに失礼なんじゃないか。

 他の女とのデートでお土産持ってくる矢代大地(ガキ)ってやっぱりおかしいぞ)

 ないよりはマシでしょ!

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