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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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33.「大赤字じゃないの?」

 メイドさんたちはさすがにメイド服ではなかったけど動きやすそうなツナギ姿だった。

 ていうかそれ制服?

 背中に文字が書いてある。

 「矢代ホームサービス」って。

「子会社です。

 私たちは矢代興業から派遣されている形ですが、パートやバイトの人とか派遣社員はこっちで雇用しています」

 浦河さんが説明してくれた。

 さいですか。

 まあどうでもいいけど。

「矢代社長は朝食まだですか?」

「まだ。

 作ってくれるの?」

 冗談で聞いてみたら大真面目に頷かれた。

「当然です。

 我が矢代ホームサービスのメイド派遣事業にはご家族の生活サポートも含まれています」

 それから浦河さんは僕の前に来て(カーテシー)をとって言った。

「何がよろしいでしょうか?

 ご主人様」

「止めて(泣)」

 幸い冗談だったみたいですぐに謝ってくれた。

 業務の一環として派遣先で食事を作ったりする契約もあるらしい。

 なら甘えてしまおう。

洋食風(アメリカンブレックファスト)でお願いします」

「かしこまりました」

 大真面目に返す浦河さん。

 でもさっき見たけど材料とかないんだけど。

「大丈夫です。

 何とかするのがメイドです」

 さいですか。

 まあお任せで良いか。

 リビングのソファーに座ったままチラチラ見ていると、浦河さん以外の2人は屋敷中を回っているようだった。

 単純に掃除してるんじゃなくてむしろチェックみたい。

 そういう仕事なのかも。

 一方浦河さんは突然輝いていた。

 いつの間にかほっかむりを被っている。

 本気で仕事モードらしい。

 元同級生(クラスメイト)としか思ってなかったけど案外有力な社員(メイド)なのかもしれない。

 メイドさんたちも見られていると嫌だろうから手元に集中する。

 タブレットを弄くって見てみると宝神総合大学のサイトはかなり充実していた。

 普通の大学みたいなよくある大学や学部なんかの宣伝じゃないんだよ。

 むしろ実用的。

 それは多分、このサイトがお客様向けじゃなくて学生が使うことを想定しているからだ。

 その証拠に表面的な情報ページから更に奥に潜ろうとするとパスワードを請求される。

 文字列を入力するボックスがポップアップしたりして。

 でもこれはダミーなんだよね。

 いやもちろんパスワードを知っていればアクセス出来るけど、その場合は巧妙に作られたやはりダミーの洞穴(ダンジョン)に誘い込まれることになる。

 そこにアクセスした人は徹底的に個人情報を毟られたりして。

 本当のパスワードは網膜認証だ。

 大したもんだよね。

 まあ当たり前の話で宝神の学生は学外にいる限り、このホームページしか大学との接点がない。

 だからセキュリティは厳しいけどその分学外で学生が使うあらゆる機能が搭載されていると。

(凄い技術力だな)

 無聊椰東湖(オッサン)が感心したように言った。

 そうなの?

(俺も技術的な事はよく判らんが、これを立ち上げるのに実質3ケ月くらいしかなかったはずだ。

 あの錬金術師がやったんだろ?)

 だと思うけどよく知らない。

 多分、宝神の技術専攻か何かに所属する人たちが作ったんだろうね。

 ネットとITに詳しい錬金術師って無敵じゃない?

 タブレットでも矢代教授()というか心理歴史学講座のスケジュールを見ることは出来た。

 正確に言うとそういうシステムの一部、僕の予定だけだ。

 僕の資格は教授なので、宝神の構内なら大抵の人の予定(スケジュール)を覗けるはずなんだけど、学外からだと制限されるみたい。

 だから比和さんのスケジュールなんかは判らないんだよね。

 もっとも理事会とか矢代興業の取締役会には僕と一緒に出ると思うから、その時なら会える。

 まあ、実は同じ家に住んでいるんだけど(笑)。

「お待たせしました」

 突然言われて振り向くと浦河さんが微笑んでいた。

 そして僕の前のテーブルには朝食(ブレックファスト)が!

 大きな白いお皿に美味しそうなベーコンエッグとパン、小皿のサラダ、そしてカップ入りのスープ。

 凄い。

「ありがとう。

 よく材料があったね?」

 僕が探したときは空っぽだったのに。

 すると浦河さんはほっかむりの下の美貌を輝かせた。

「材料がなかったので部下をコンビニに走らせました。

 最近のコンビニはいつでもどこでも何でも揃う上に食材の質も侮れませんので」

 それから囁く様に言う。

「このような臨機応変、縦横無尽な対応が矢代ホームサービスの強みです」

 そうなの。

 何と言うかそこまでやる? と聞きたい。

 朝食を頼まれてからあまり時間がたってないのに、その間に食材の不足を調査して買い出しして持ってきて貰って料理まですると。

(凄すぎるだろう。

 間違いなく費用対効果(コストパフォーマンス)はズタボロだぞ?)

 そうだよね。

 これはもはや「ホームサービス」の域を越えている。

「大赤字じゃないの?」

 すると浦河さんは当たり前のように返してきた。

「矢代ホームサービスの『特』待遇ですから。

 もし一般の顧客相手にこのレベルのサービスをご提供する場合、時給は6桁行きますよ。

 私もそうですが今ここに来ているのは上級スタッフ(メイド)です。

 現時点でこのレベルのサービスを提供出来る顧客はほとんどいません」

 何てこった。

 上級メイドって事はつまり元僕の同級生(クラスメイト)たちや帝国のメイドさんなんだろうな。

 比和さんがメイド長やってるから下っ端に見えるけど現場では指揮官クラスだと聞いている。

 そんな凄い人たちが現場のメイドやってくれてるのか。

過剰供給(オーバースペック)なのでは」

「比和部長……教授の指示(めいれい)で、矢代社長にサービスを提供する場合は常に最高レベルということになっています。

 手は抜けませんよ」

 それから囁く様に。

「手を抜いたりしたら、まず単位は頂けないかと」

 比和さん、やりすぎ!

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