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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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319.「何で僕のデータなんかを」

 これは駄目だ。

 仕切り直さなければ。

「碧さん、加原くんを呼べる?」

 聞いてみた。

『呼べますよ。

 ちょっと待って下さい』

 呼べるのかよ!

「呼べるって電話で?」

『いえ、今は会議室にいますので』

 もう夜中なのに加原くんってまだ宝神にいるのか。

 そういえば研究馬鹿だった(泣)。

 しかし呼べとは頼んだけどどうするんだろう。

 てっきり電話が切り替わるとかすると思ったんだけど。

 しばらくして碧さんの後ろで動きがあった。

 画面の中のドアが開いて白衣を着た加原くんが入って来たりして。

 本物なの?

『あ、教授!

 矢代さんがお呼びです』

 振り返って加原くんに呼びかける碧さん。

 え?

 これ、実際の風景なの?

 すると加原くんがニヤニヤ笑いながら画面に割り込んで来た。

 碧さんは身を引いている。

 何かもう、実写とCGキャラがごく自然に融合しちゃっているんですが?

 さっきまでCG聖女様(相沢さん)を見ていたから当たり前に見えるけど、これって物凄い技術なのでは。

『ダイチ殿。

 早速ベータテストに参加してくれたんだね。

 ありがとう』

 加原くんが何でもないように言った。

「本物の加原くんなの?」

『そうだよ。

 研究室にいる』

「いや、だって碧さんと一緒にいるように見えるけど」

 すると加原くんはニヤニヤ笑いを大きくしながら言った。

『こっちのノートPCのカメラと碧の映動を同調させているんだ。

 リアルタイム合成だね。

 スパコンがないと無理な処理だけど』

 そんなことにスパコン使わないでよ!

 まあいいけど。

「それにしてもいつの間に碧さん(AI)を開発してたの?」

 よくそんな暇があったよね。

『碧は僕が開発したんじゃないよ。

 うちの研究室の研究成果を合わせたら出来てしまっただけで』

「そんなことでAI開発が出来ると?」

『うーんと。

 スマホなんかで使われているガイドシステムを改良して音声合成技術を昇華させて画像読取で表情認識機能とリアルタイム動画合成アプリケーションを組み合わせて』

「わかったからもういいよ。

 つまりそういうのを全部合わせたらAIが完成したと」

『そう。

 たまたま小型のスパコン導入したけど差し当たって使い道がなかったからリソースを振り向けてみたら』

 碧さんが出来てしまったと。

 凄すぎる。

「これ、ノーベル賞ものの発明なんじゃない?」

『どうかな。

 リソースを食い過ぎるから一般的じゃないし、そもそもAIじゃないからね。

 声やら動画やらを取っ払ったら単なるガイドシステムだし』

「それにしては碧さんって人間ぽい、というよりは人間過ぎるような気がするけど」

 加原くんは画面の中で肩を竦めた。

『限定された状況だからね。

 実を言えば碧はダイチ殿専用なんだよ。

 普通はこんなに細かく相手の言動や表情に対応出来ないし、元々はガイドシステムでしかないからすぐにボロが出てトンチンカンな事を言い出したりやったりする。

 実際、うちの研究室の連中に試して貰ったら5分も持たなかった』

 何と。

「僕専用ってどういうこと?」

 何か凄い嫌な予感がする。

『ダイチ殿のデータを集めてシミュレータを作った。

 ダイチ殿ならこんな状況だとどんな反応や動きをするかとかね。

 そのシミュレータをサーバで走らせてカメラから読み取ったダイチ殿の反応と同期させているんだ。

 つまり(AI)はダイチ殿と直接話す前にサーバの中でシミュレーションを実行しているわけ。

 色々な反応の結果を予めフィードバックしてるからダイチ殿が何を言おうがスムーズに対応出来る』

 何てこった。

 ていうか僕のデータって何?

 いつの間に観察されてたの僕?

「何で僕のデータなんかを」

 愚痴ると加原くんはのほほんと言った。

『ダイチ殿は最重要人物(VIP)だからね。

 宝神でも相当リソースを割いて護衛とかしている。

 情報(データ)も絶えず集めている。

 手元にたまたまダイチ殿のデータが揃っていたんでシミュレートしやすかったんだよ。

 それに』

「それに?」

『ダイチ殿が使ってる機器のスペックが理由の一つと言える。

 例えば今ダイチ殿は自室のデスクトップPCを使ってるでしょ?

 それ、最高級のゲーミングマシンに匹敵する性能(スペック)だから』

「そうなの!」

 知らなかった。

 確かにサクサク動くしフリーズとかしたことがないから高性能だとは思ってたけど。

『パソコンだけじゃなくてスマホやタブレットもそうだよ。

 カメラは最高級品だし液晶は4K。

 碧が自然に動けるのもそっちのPCのスペックが高いからでもある。

 画像解析用のカメラも同じで』

 僕は大型のディスプレイを見た。

 今まで気がつかなかったけどディスプレイの上部にカメラがついている。

 碧さんや加原くんとごく自然にテレビ会話していたのはそのせいか。

 溜息が出てしまった。

「つまり碧さんがAIっぽく振る舞えるのは僕のデスクトップでだけということ?」

 すると碧さんがニコニコしながら言った。

『矢代大地さんのタブレットやスマホでもほぼ同等の対応が可能です。

 もっと上かも。

 画面が小さい分、表情や身振りなんかの処理(シミュレート)の手が抜けますので』

 うん、もう完全に人間だね碧さん。

 感心や驚きを通り越して納得してしまった。

 まあ、いいや。

 神様だの魔王(ぬらりひょん)だの妖精(フェアリー)だのと一緒に暮らしているんだから今さらAI美少女の一人や二人、増えた所で大した問題じゃない(泣)。

 でも、だとすると気になるな。

「碧さん、さっきから僕の事をフルネームで呼んでるみたいだけど」

『そうですね。

 お嫌ですか?』

「嫌というか。

 もうちょっと砕けた方がいいと思う」

 画面の中の碧さんが大きく頷く。

『判りました。

 では大地さん、と』

「それでいいよ」

『私の名前は矢代碧ですので、ご希望なら【お兄ちゃん】と呼ぶことも可能ですが?』

 断じて断る!(怒)

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