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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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314.「だが依代だ」

 相沢さんは文学士だそうだ。

 つまり文学部を卒業したわけか。

「そうですが、別に文学部の卒業生だけが文学士になるわけじゃないです。

 多数派というだけで」

 そうなのか。

 文学関係の学科だけだと思っていた。

「ちなみにぃ何学科ですかぁ?」

「日本文学科です。

 卒論は日本書紀についてで」

 おお、何となく学術的だ。

「神話とか歴史に興味がおありなのでしょうか」

 珍しく比和さんが聞いてきた。

 比和さんの場合、徹頭徹尾実用方面の知識や技能しかないからね。

 その辺り、ちょっと悩んでいたから前に「比和さんは今のままでいいよ」と言ったら泣かれたけど。

 でも学術的な方面に興味というか憧れはあるんだろうね。

 人は自分が持ってない物に引かれるから。

「全然ないです。

 演習が楽だと思って専攻しました」

 相沢さんはあっけらかんと言った。

 さいですか。

 まあ、大学生なんかそんなもんだろうけど。

 学士号取得機関化して久しいよね大学って。

(そうだな。

 俺は経済学士だがもう『け』の字も残っちゃいない。

 企画職だって入社して配属されたのがそこだからで)

 無聊椰東湖(オッサン)、大学出てるのか!

 初めて知った(笑)。

(馬鹿にするなよ矢代大地(ガキ)

 俺はきちんと4年で卒業した。

 卒論はスタンリーだ)

 何それ。

 ていうか興味ないのでパス。

(近頃の若いもん(ガキ)は)

 無聊椰東湖(オッサン)の恨み節が聞こえるけど、その台詞(セリフ)って古代エジプトの遺跡の壁にも書いてあったらしいからね。

 相沢さんへの質疑応答が続いていた。

 矢代家(うち)にいるのは全員が大学生だ。

 パティちゃんは聴講生だけど。

 卒業した人の話は興味があるからね。

「通信大学の演習ってどういうものなのでしょうか」

 比和さんが聞き役になっているみたい。

 本人は学生であると同時に教授、いや名誉教授なんだよ。

 責任感が強い人だから講座のヒントになるかもしれないと思っているんだろうな。

 宝神(うち)と通信大学は全然違うと思いますが(泣)。

「教授から課題が出るんです。

 それについて調べたりレポートを書いたりします。

 卒論は自分でテーマを決めて」

「テーマって何でもいいんですか?」

 (エン)さんが割り込んだ。

 自分の事が心配なんだろうな。

 いや多分、通信大学の演習は参考にならないと思う。

 うちは心理歴史学講座だから(泣)。

「一応、専門分野から選べと言われました。

 教授が何人もいて、それぞれ専門が違うのでやりやすい人を選びます。

 誰それは厳しいとかあの教授は作文でも通してくれるとか、裏ネットで情報が乱れ飛んでました」

 やはりか。

 優しい教授とそうじゃない人がいるんだろうね。

 変なのに当たると辛い事になりそう。

「好き、に選べるのでしょうか」

 これはパティちゃん。

 本当に小学生なの?

「それがですね。

 学生レベルの論文指導なら大抵の教授が出来てしまうので希望者が多い分野は抽選になります。

 強制でした」

 それは酷い。

 いや、判るよ?

 通信大学にしたら教授ごとに指導する学生数が違ったら拙いでしょう。

 指導する学生が多いとそれだけ負担になるもんね。

「相沢さんはいかがでしたか?」

「優しいと評判の教授に当たりました。

 ですが」

 相沢さんの目が据わった。

「論文を何度も突っ返されました。

 後で聞いたら『優しい』の意味を取り違えてました。

 優しくとことんまで学生に付き合ってくれる教授だったみたいで」

 そうなの。

 まあ、指導者の優しさってそうかもしれないね。

 「学生(おまえ)の為を思ってやってるんだ」とか(笑)。

「それでも合格出来たんだから大したものだ」

 静姫様がちょっかいをかける。

 相沢さんは更に暗くなった。

「いえ、それがですね。

 論文で四苦八苦している最中に依代になってしまって。

 前世がゲームのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)なだけでもアレなのに、今度は神様ですよ!

 もう逃げてしまいたいと思っていたら……突然論文が通りました」

 沈黙。

 それ、拙くない?

 いや真相は判らない。

 ひょっとしたら本当に合格したのかもしれないし。

「相沢は意識してやったわけじゃないんだよな?」

 静姫様の追求に相沢さんは頬を膨らませた。

「もちろんです!

 私は真面目に」

「だが依代だ」

 急所を突かれて黙る相沢さん。

 静村さんも言っていたもんなあ。

 「私はどんな試験にも合格する」と。

 無意識に現実を改変している可能性があるんだよ。

 相沢さんが依代になったのは去年の後半らしいから、つまり論文提出や卒業試験の前だ。

 印象的には有罪(ギルティ)

 だけど日本の法律では超常現象を取り締まれない。

「いいんじゃない?

 相沢さんは大学を卒業したわけで、それが事実だよ」

 僕は堪まらなくなって言った。

「結果が大事だと思う。

 通信大学側も一度出した学士号を取り上げたりしないだろうし」

「そうですよ!

 相沢さんは正しい!

 正義です!」

 調子に乗った(エン)さんがはやし立てて相沢さんに笑みが戻った。

 こういう時の(エン)さんはいいよね。

 無駄にアグレッシヴで。

 だけど魔王(ぬらりひょん)に励まされて立ち直る神様って(笑)。

「卒論についてはぁ判りましたぁ。

 ところでぇ演習(ゼミ)はどうなのでしょうかぁ」

 信楽さんが空気を変えてくれた。

 確かに。

 卒業論文は担当教授との一対一のやり取りなんだよね。

 でも大学の演習(ゼミ)って講座の人たちが集まって何かやったりしない?

 心理歴史学講座(うち)はやってないけど(泣)。

 ていうかやるつもりだったのに学生が来ないんだよ。

 仕事が忙しかったりサボりだったり。

 特に未来人は一度も来なかった。

 許せん(怒)。

演習(ゼミ)ですか?

 課題はやってましたけど集合討論などには一度も出てないです」

 あっけらかんとクズ学生ぶりをバラす相沢さん。

 駄目じゃん!

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