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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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19.「僕たちの家って、どこだったっけ」

 僕は自転車の掃除とかはやらなくていいそうだ。

 砧さんもよく知らないらしいけど、そういうのは宝神総合大学の業務なので護衛兵じゃなくて警備関係の人の「仕事」になるらしい。

 そういえば王国や帝国の護衛兵の人たちって誰の講座所属なんだろうか。

 まあいいか。

 僕は砧さんにお礼を言ってから自転車で走り出した。

 砧さん、見送りはいいけどそんなに頭下げないで。

 自転車に乗るのは久しぶりだったけど、こういう技能は一度覚えたら一生忘れないらしい。

 ちょっとフラついたけど校門を出る辺りで安定した。

 大学の塀に沿って河に向かう。

 まだちょっと風が冷たいけど気持ちがいい。

 これはナイスだ。

 真夏や真冬は酷くなりそうだけど。

 でも自転車は必需品なんだよね。

 僕たちが住む屋敷は大学よりは駅に近いけど、それでも徒歩で30分くらいはかかりそうだ。

 だから電車に乗るにしても自転車で駅まで行く必要がある。

 駅前に駐輪場とかあったっけ。

 後で確認しておこう。

 宝神総合大学は無駄に敷地が広いので、塀が続いているだけの道を延々と走っていたら土手が見えて来た。

 あの向こうが河だ。

 そして土手の上は歩行者/自転車専用道路になっている。

 前に比和さんと来たときに確認したからね。

 あの時は寒かった。

 でももう4月だから大丈夫だろう。

 土手を上ってみると綺麗な風景が広がっていた。

 桜並木か!

 そのせいだろうけど、結構人通りがある。

 僕は自転車を降りて押して歩くことにした。

 風景に見とれていて人を轢いたり河に転がり落ちたりしたら嫌だし。

 一応、道には手すりみたいなものがあるけど自転車でぶつかったらあっさり倒れそうなんだよ。

 そしてその向こうはなだらかに河の岸まで下り坂だ。

 自転車に乗ってダイブコースだよ。

 自分が落ちるのならまだいい。

 おばあさんや子供でも轢いたら人生終わる。

 そういえば僕、対人対物傷害保険って入ってなかった。

 埼玉県って確か自転車に乗る人には義務化されていたよね。

 後で信楽さんに相談しよう。

 そんなことを考えながらてくてくと歩いて行くと色々な人とすれ違った。

 犬を散歩させているおじさんとかのんびり並んで歩いてくる老夫婦とか。

 そして川岸に点在している釣り人。

 例外なく折りたたみ椅子に腰掛けている。

 埼玉だなあ(笑)。

 牧歌的でいいけど気がついたことがある。

 若い人がいない!

 全員が中高年なんだよ。

 まあ考えてみれば今日は平日だし学生や生徒は学校だ。

 始業式かもしれないけど。

 それ以外の人は仕事に行っているだろうから、真っ昼間に河の土手を歩く暇はないか。

 例外は僕みたいな学生だろうけど、この辺りに宝神以外の大学があるとは聞いてないからね。

 いやあるのかもしれないけど、多分学生の絶対数は全部合わせても大したことはないだろう。

 老人の国か。

 何か昔想像していたのと違う学生生活になりそう。

 いや、そんなことを言い出したら厨二病と関わった時点でもう、取り返しがつかないんだけど。

矢代大地(ガキ)の宿命だ。

 諦めろ)

 無聊椰東湖(オッサン)って常に悲観的だよね?

 僕の導者(メンター)ならもっと希望が持てるような忠告が欲しいんだけど。

(俺はそんなもんじゃない。

 お前だ)

 そうかよ。

 まあいいや。

 そういえば無聊椰東湖(オッサン)が僕の心に住み着いてからもうすぐ2年になるのか。

 既に無聊椰東湖(オッサン)がいなかった頃がどうだったのか思い出せない。

 いや、これは無聊椰東湖(オッサン)のせいだけじゃないな。

 余りにも濃すぎる厨二病ライフだった。

 現在進行系で更に加速しているけど。

 いつの間にか桜並木がなくなって、それに伴って人通りも絶えていた。

 僕は自転車に乗ってゆっくり走る。

 そろそろ僕の家というか寄宿舎? に近いはずなんだけど。

 見覚えがない風景が過ぎて行く。

 いったん自転車を停めてタブレットを起動する。

 スマホがあれば一発なんだけど忘れてきたんだよね。

 幸い、タブレットにも地図情報システムが搭載されていた。

 現在位置はすぐに判ったけど、そういえば僕、住むことになっているあの家の場所知らないじゃないか!

 住所も判らない。

 だけど慌てることはない。

 ヘッドホンマイクを装着して電話する。

「もしもし」

『矢代社長ぅ。

 何でしょうかぁ?』

 僕の万能秘書(ゆりかえもん)に聞けばいいのだ。

「僕たちの家って、どこだったっけ?」

 我ながら間抜けな質問だ。

 ○び太くんだってここまで抜けてないぞ。

 でも信楽さんはすぐに察してくれたみたいだった。

 住所を教えてくれる。

『今はぁ誰もいないはずですぅ。

 入る前にぃセキュリティを解除して欲しいですぅ』

「そうだった!

 どうすれば」

『タブレットにぃアプリをインストールしておきましたぁ。

 ちなみにぃ矢代社長のぉスマホにも入ってますぅ』

 さいですか。

 セキュリティの解除方法を教えて貰ってから聞いてみた。

「そういえば信楽さん、いつ頃帰れそう?」

『……夕食までにはぁ何とかぁ』

 大変だね。

「わかった。

 夕食は僕が作るから」

『ありがとうございますぅ』

 のほほんとした口調だけど喜んでくれたようだ。

 ついでに聞いてみたら比和さんたちも大忙しで遅くなるということだった。

 それどころかランチの暇もなくて、急遽護衛兵が近くのコンビニまで食料調達に走ったらしい。

 サンドイッチで済ませたとか。

「食堂やってないの?」

『まだですぅ。

 私ぃのミスですぅ』

 明日からは絶対、と断言されたけど信楽さんは悪くないと思う。

 全部信楽さん頼りな関係者が悪い。

 つまり最終的には僕か。

 電話を切ってから静村さんと(エン)さんに架けてみたけどつながらなかった。

 タブレットの電源切ってるな。

 まあいい。

 神様と魔王様なんだからお昼くらい自分たちで何とかするだろう。

 未来人や王国・帝国の方々は心配するだけ損だ。

 超能力者はほっといていい。

 さてと。

 家の場所は判ったけどこのまま帰ってもお昼ご飯はなさそうだね。

 夕食はまた後で考えるとして、とりあえずはお昼だ。

 タブレットでもよりのコンビニかスーパーを探してみたら、意外に近くにあった。

 聞いたことがない系列(チェーン)のスーパーらしいけど、この際どこでもいい。

 ポケットに財布があるのを確認してから僕は自転車にまたがる。

 行ってからお金が無いという悲劇は避けられそう。

 出来ればクレジットカードが使えるといいんだけど。

 土手の上の道を辿っていくと巨大な橋が見えて来た。

 街道というよりは物流用の幹線道路みたい。

 つまり普通の乗用車やバスなんかより大型トラックが多くてビュンビュン飛ばしているんだよ。

 怖くて近寄れないので手前で曲がる。

 しばらく走るとスーパーがあった。

 モールなんじゃないかと思えるくらいでかいんですけど?

 というよりは細長い。

 1階建ての建物が延々と続いていて、その前は丸ごと駐車場だ。

 埼玉って凄い。

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