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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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18.「歩いて帰るつもりですけど」

 目標管理シートには3つくらい項目があったので、適当に記入して「提出」ボタンを押しておいた。

 信楽さんによればこれで終わったわけじゃない。

 担当教授に認めて貰わなきゃならないそうだ。

 つまり教授から見て僕の立てた目標が高すぎたり低すぎたりした場合、訂正を要求される。

 何度か面談を繰り返して最終的に決定されるまで続くらしい。

 まあ、その叩き台という所かな。

 いい加減飽きてきたのでタブレットの電源を切る。

 さてどうしよう。

 普通、大学に入学したら即探検といきたい所なんだけど、あいにくそれは比和さんと一緒に実施済みだ。

 それに宝神(うち)ってあまり見るものがないんだよね。

 そもそも人がいない。

 サークルを回ろうとしても、去年まで居た人たちがほぼ全員出て行ってしまったため、軒並み潰れたらしい。

 いや違うか。

 ひとつだけ残っているはずだ。

 服部さんたちが所属するヲタクゲーム部だったっけ、そんなかんじのサークルがあった。

 まだあるんだろうか。

 訪ねてみようかと思ったけど思いとどまる。

 あそこも一度行ったことがあるしね。

 あまり面白くなかった。

 美少女ゲームとか乙女ゲームに興味がある人なら宝の山みたいなもんだろうけど、あいにく僕は興味がないし。

 帰ろうかな。

 そうだよ。

 よく考えたら僕って引っ越ししてきたばかりじゃないか!

 自分の部屋の整理も済んでないのに見学とか遊びとかやってる場合じゃない。

 今日は帰宅だ。

 タブレットと付属部品を入れるバッグも箱に入っていたので持って帰ることにする。

 ていうかそういう用途だよねこれ。

 通信大学の講義はこのタブレットがあればどこでも受けられるわけだ。

 そのために最新型のタブレットを配ったと。

 初年度から凄い投資してるなあ。

 大丈夫か矢代興業。

(気にするな。

 取締役会で承認されて矢代大地(ガキ)が契約書にサインしたはずだ)

 つまり僕の責任ですか(泣)。

 まあいいや。

 考えても始まらない。

 理事長室を出て鍵をかけ、バッグをかついで歩いていると廊下で(きぬた)さんと出会った。

「あ、矢代理事長!

 もうお帰りですか?」

「はい。

 引っ越したばかりなので」

 反射的に答えたら苦い顔をされた。

「駄目ですよ。

 矢代さんは私たちの上司なんですから。

 しかも理事長で教授。

 私みたいな学生兼職員からしたら雲の上の人です」

 だからもっと威張って下さい、と砧さん。

「いやそんなこと出来ませんよ。

 砧さんたちの方が人生の先輩なんですし」

「先輩という言葉がこれほど虚しい状況もなかなかないですよ。

 でもまあ、判りました。

 私的(プライベート)はいいとして、公的にはちゃんとして下さいね。

 立場というものがありますから」

(そうだ。

 矢代大地(ガキ)はどうでもいいがこの美女さんの立場が悪くなるかもしれん。

 気をつけろ)

 そういうことね。

「判りました」

 切り上げて歩き出す。

 帰りの車はないだろうから歩きか。

 前に来た時は河に添って歩いてきたら着いたから、その逆をやればいいかな。

「ちょっと待って下さい」

 砧さんが後ろから呼びかけてきた。

「何か?」

「お帰りですよね?

 車呼びましょうか?」

 僕を何だと思ってるんだろう。

 いや理事長で教授か。

 未成年で(泣)。

「歩いて帰るつもりですけど」

「だったら自転車使いませんか?

 学生と教職員用に共用サイクルがあるんですよ」

 何と。

 そういえばチャリは必須だとか前に言っていたっけ。

 宝神総合大学(うち)で用意したか。

「それは有難いですね。

 是非」

 というわけで僕は砧さんに案内されて駐輪場? に向かった。

 教務棟の横に大きな倉庫みたいな建物が建っていて、そこが専用の自転車置き場だということだった。

「駐輪場ってこんな所にありましたっけ?」

「移設しました。

 セキュリティの問題もありまして」

 それまでは簡単な屋根付きの野外駐輪場だったらしい。

 外に放置すると自転車が傷みやすくなるということで新しく屋内に作ったそうだ。

 扉は開いていた。

「いつも開けてあります。

 夜中でも早朝でも使えますよ」

「不用心、てこともないのか。

 こんな場所には大学関係者以外来ませんよね」

 何せ宝神(うち)はど田舎だ。

 もよりの駅まで徒歩1時間くらいかかる。

 周りにほとんど家もないから陸の孤島と言っていい。

 こんな所に来る人って大学関係者以外は存在しない。

「こちらです」

 ママチャリのような自転車がずらっと並んでいた。

 駅前なんかによくある自転車立てに設置されている。

 有料の奴ね。

 車輪が固定されていたりして。

 パスワードを打ち込むとロックが外れるんだよね。

 なるほど。

 チャリ自体じゃなくて駐輪場にセキュリティがかかってると。

「どうすれば借りられるんですか」

「タブレットです」

 何と。

 僕はその場でバッグからタブレットを取り出して起動した。

 スマホに比べたらでかいから扱いにくいなあ。

「スマホのアプリでもいいんですが、認証機能が難しいのでタブレットになったと聞いています」

 砧さんの説明によれば、大学内でのほとんどの作業はタブレットで行うのだそうだ。

 何その万能端末。

 つまりタブレットが故障したり無くしたりしたら何も出来なくなってしまうのか。

「その場合はどうするんです?」

「事務局に申し出て下さい。

 交換します」

 さいですか。

 砧さんの指示でタブレットのアイコンをクリックするとアプリ画面が出てきた。

「『共用自転車レンタル』ですか」

「貸出はタブレットごと、というよりは一人一台です。

 基本、自分で使う分しか借りられません」

 つまり何か別の用で使いたい時は事務局に頼む訳ね。

「『レンタル』をクリックして下さい」

 そうするとまた認証画面が出てきた。

 カメラに目を近づける。

 何でもかんでも網膜認証らしい。

 タブレットの画面に「貸出完了」のメッセージと一緒に番号が浮かび上がった。

「これでレンタル出来ました。

 5分以内に持ち出さないと再ロックされますので」

 砧さんの注意を聞きながらタブレットに表示された番号の自転車の所に行く。

 前輪の車止(ロック)が外れていた。

 なるほどなあ。

「この自転車使って良いんですか?」

「はい。

 矢代さんの自由です。

 ちなみに自転車自体は普通のママチャリですから、どこかに停める時はキーロックをお願いします」

 さいですか。

 至れり尽くせりですね。

「お金かかるんですか?」

「本学の学生や講師、職員なら無料です。

 でも無くしたり壊したりするとペナルティが付きますから注意して下さい」

 それは怖い。

「返す時は?」

「ここに持ってきて一時停車場に停めて下さい。

 鍵は付けたままで」

「元の場所に戻さなくていいんですか?」

 すると砧さんは曖昧に笑った。

事務局(こちら)でチェックして壊れたりしていないか確認します。

 あと汚れていたら掃除も」

「大変じゃないですか!」

 事務局の負担、大きくない?

「大丈夫です」

 砧さんがにんまりと笑った。

「学生さんが業務の一環としてやってくれるそうですので」

 僕も?

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