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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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174.「講義は難しい?」

 それから年末までの数日間は遊び惚けた。

 僕以外は美少女なんだけどラノベ的な展開にはならなかった。

 現実にしてみれば、これってかなりきつい設定だよ。

 例えば迫水くんみたいなイケメンがやるのなら萌えハーレムアニメ化も可能だったかもしれないけど、僕に出来たのは出来るだけ女の子たちの希望を聞いてまとめることだけだった。

 例えばみんなでカラオケ行ったり。

 リビングでゲームしたり。

 勉強会みたいなものもやった。

 比和さんや静村さんも通信大学講座の消化が遅れていたからね。

 静村さんはともかく比和さんは忙しくてそれどころじゃなかったみたい。

 真面目な人だからつい仕事を優先してしまうんだろうな。

 比和さんに聞いてみたら事態は思っていたより深刻だった。

「講義は難しい?」

「そんなことはないのですが時間を取られるのが痛くて。

 90分の講義を見るのに90分かかりますから」

 比和さんが悲壮な表情で言った。

 静村さんの方は単純に怠けていたみたい。

 神様なんだからどうにかなると思っているのかも。

 そうなんだよ。

 通信大学の講座はディスプレイごしだというだけで、大学の講義室に座って講師の話を聞くのと変わりはない。

 いったん始まったら終わるまで続く。

 ショートカットしたり早送りが出来ないんだよね。

 しかもビデオなのに途中で質問が入って講義をちゃんと見てないと応えられない。

 更に同じ講義でも質問のパターンがいくつかあるらしくて、既に受講した人に聞いてもカンニング出来ないようになっている。

 厳しい。

 僕は今までも暇を見て通信大学の一般教養講座受講を進めていたからまあ大丈夫だけど、比和さんや静村さんはこのままでは年度末までに終わりそうにもないみたい。

 この機会にやるしかない。

 でも一人で勉強するのは精神的に耐えられないというのでリビングに機器を持ち込んで黙々と受講している。

 ヘッドフォンつけているんだけど邪魔になると悪いから僕たちはソファーの隅でコソコソ話した。

「仕方ないですぅ」

 信楽さんが教えてくれた。

「通信大学はぁ信用第一ですぅ。

 コンテンツしかぁアピール出来るものがないのにぃ、そのコンテンツがぁいい加減だとかぁカンニングし放題だとかぁ噂がたったら破滅ですぅ」

「それはそうか。

 学生には不評だろうけど、そこで手を抜くと通信大学自体の存在価値に関わってくると」

「はいですぅ。

 私ぃも調べて見ましたがぁ厳しいですぅ。

 一般教養はぁまだマシなくらいですぅ」

 信楽さんによれば専門教科は本当にきついそうだ。

 いい加減な気持ちで受講しても絶対学士号は貰えないらしい。

「おかげでぇ我が宝神でもぉ一般教養単位として使えてますぅ。

 これがぁ怠け者量産大学とかだったらぁ宝神(うち)は採用しないですぅ」

 通信大学って思ったより真面目な教育機関らしい。

 ていうか宝神(うち)も結構きついよね。

 一般教養科目の単位取得に四苦八苦しているようでは卒業も難しいのでは。

「そうでもないですぅ」

 信楽さんがのほほんと言った。

「そうなの?」

「はいですぅ。

 一般教養科目はぁ、実はどうにでもなるですぅ。

 専門職大学の卒業生にぃ必要なのはぁ専門技術ですぅ。

 実力がぁある学生がぁ一般教養科目を落として留年とかぁ有り得ないですぅ」

 そういうことね。

 宝神(うち)の学生はよその大学と違って既に社会人だ。

 仕事しているんだよ。

 よその大学では演習に当たる事を実社会で経験している。

 それがちゃんと出来る人なら、それはつまり社会人として通用するってことだからね。

 そういう人を専門科目(本筋)と関係ない部分が足りないからと言って落第させたり単位不足で退学にしたりするはずがない。

「でも仕事しすぎで通信大学講座を受講出来ない人もいるのでは」

 比和さんがまさしくそれだ。

「そういう人はぁ後で特別講義でもぉすればいいだけですぅ。

 何とでもなりますぅ」

 高校の追試や補講みたいなものか。

 如月高校も結構その辺はいい加減だったもんね。

 せっかくいい大学に受かった生徒が単位不足や出席日数不足だったりした場合、レポートや休み中の補講とかで誤魔化して合格させていたからなあ。

 僕も3年生の後期が終わらない内に海外に飛んで卒業式もさぼったからね。

 出席日数は足りていたと思うけど厳密に言えば明らかな校則違反(サボリ)だったし。

 でもちゃんと卒業出来た。

 ていうか僕、卒業証書貰ったっけ?

 あれから如月高校に行ってないからよく判らん。

 まあいいや。

 僕はキッチンテーブルに着いてヘッドフォンを被ってノートPC化したタブレットに見入っている比和さんに後ろから近づいてみた。

 僕に気づかないくらい集中している。

 さすが。

 対面に座った静村さんが僕を見ていたから講義に戻れと合図する。

 比和さんのディスプレイには大画面のスクリーンの前で話す講師が映っていた。

 黒板とかはもう時代遅れなんだよね。

 僕も受講したから知ってるけど通信大学の講義は授業というよりはレビューや講演に近い。

 チョークで黒板に書くんじゃなくてディスプレイに画像や文字を写して説明するんだよ。

 比和さんが今受講しているのは政治学だった。

 僕もその講義をとったんだけど、なかなか面白かった。

 人類文明というか文化というか、歴史に残っている色々な国の政治形態について教えて貰った。

 大学の一般教養の講義ってむしろ趣味みたいなものなんだよ。

 年号とかそういうのは無視。

 暗記もない。

 ひたすら学問的な知識が披露される。

 常識を覆されるような事もよく出てくる。

 例えば民主主義って実は王制や封建制なんかより古い制度だったりして。

 人類文明の(あけぼの)は当然原始共産制だけど、それが進むと次は直接民主制になるらしい。

 広場とかに住民全員が集まって指導者を全員で選ぶという。

 スイスなんかの町では今でもやっているとか。

 でもこの方法が通用するのは集団の人数がせいぜい3桁までで、千人を越えるとみんなで選ぶのが難しくなってくる。

 学校のクラスに生徒が千人以上いたら全員でクラス委員なんか選べないよね?

 だから少数の優秀な人や人望がある人がその役目を果たすようになる。

 そこから貴族制や王制が出てくると。

「ダイチ様。

 何か?」

 振り向いて聞いてくる比和さん。

 邪魔してご免(泣)。

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